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早稲田大学でレンタサイクル導入の動き

早稲田大学のキャンパスで、放置自転車を再生して貸し出す「レンタサイクル」事業が導入に向けて動き始めた。6月19日、大学生協と、「エコチャリ」の名で各地でレンタサイクル事業を展開している(株)バイクオフコーポレーションが、試験的に実施する方向で基本合意した。どのキャンパスで実施するかは未定だが、早ければ来年度から開始の見通しだ。

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早稲田大学放置自転車の現状

  3万人余りの学生や職員が行き交う早大の早稲田キャンパスには、約1800台分の駐輪場がある。あちこちの駐輪場の隅には、数ヶ月間放置されたままの自転車の姿が。中には、買い物かごの中にペットボトルやビニール袋が捨てられているものもある。

  撤去の警告をする札を、毎朝放置自転車につける担当者によると、「放置自転車は毎日少なくとも10台以上は増えている」。年に2、3回まとめて廃棄するが、その量は毎回およそ300台に及ぶ。撤去した自転車は盗難照会をしなくてはならない。一度に大量の自転車を警察に持っていくと、警察にも苦い顔をされるという。

  自転車の整理を担当している(株)早稲田大学ファシリティーマネジメントの職員は、「卒業する学生が使わなくなった自転車を学内に捨てていくケースは多い」と話す。

  遺失物法では、私有地の放置自転車を撤去するには少なくとも2週間前に警告すればいいが、大学では慣例として警告後3ヶ月間は様子を見る。それでも、いったん札をつけた自転車を持ち主が引き取っていくことはほとんどない。

  整理係の一人は、「価値観の変化でしょうかねぇ。今は就職して1日働けば自転車1台くらい買える時代ですから」と、諦め口調で語る。

  大学も手をこまねいていたわけではない。総務部総務課で、放置自転車を担当する小関英明さんによると、昨年度、学内のボランティアサークルや生協などと協力して解決を目指す企画が浮上した。しかし担当者の人事異動により棚上げとなってしまったという。

 

新たなレンタサイクルの仕組み「エコチャリ」

  そんな中、多くの大学でこの問題を解決してきたのがバイクオフだ。同社はこれまで、横浜国立大など関東の6つの大学で、「エコチャリ」を構築してきた実績を持つ。エコチャリは、学内の放置自転車を撤去・修理し、その自転車を学生に貸し出すシステム。利用料は月額780円で、修理費・タイヤ交換費などは無料だ。

  同社の安達勝美営業本部部長によると、キャンパスの放置自転車を引き取って修理し、販売する事業を3年前に始めたが、その自転車が再び学内に放置されていると指摘された。そこで新たに、レンタル方式のエコチャリを考案した。レンタルだと、貸し出した自転車が放置されても、所有者はバイクオフなので自社の判断だけで撤去できる。「もっと多くの大学に広めたい。エコチャリは、私たちと大学の双方にメリットがある企画なんです」

  同社は、早稲田大学でも自転車の撤去作業の一部を手掛けており、昨年1年間で早稲田キャンパスから588台を撤去した。エコチャリは営利事業なので、大学本体ではなく生協との間で協議を進めている。

  大学生協の増田和也専務理事は「都市型キャンパスでは、学生からの自転車の需要は多い」と話す。増田さんが早稲田大学に来る前に生協職員として勤務していた一橋大学でも、エコチャリが導入され、学生たちに好評で定着しているという。

  「今はエコチャリ実施のための人手が不足しているほか、自転車の混雑に拍車をかけないかという問題もあるが、次年度から始められるように努力したい」と、増田さんは話す。今後、具体的な手続きや実施方法についてさらに協議を進めるという。

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※この記事は、10年度J-School授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(林美子講師)において作成しました。

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