「包括的なキャンパスを目指して」 VOICE UP JAPAN早稲田支部共同代表の中間ゆかさん(なかま・ゆか)さん(21)
世界経済フォーラムが2022年に公表した「ジェンダーギャップ指数」によると、日本の順位は146か国中116位だった。日本でも性差別や性暴力が社会問題になってきた。これらを改善するための運動を続けている人がいる。ジェンダーに関する運動に活躍する早稲田大学政治経済学部三年の中間ゆかさんに話を聞いた。(トップ写真:中間ゆかさん=Instagramプロファイル画像より)
中間さんは日本人と台湾人のミックスで、東京で生まれた。小学校3年生の時に台湾に移り、アメリカンスクールを通った。高校時代に日本は戻ったが、ジェンダーについて違和感を覚え、関心を持ち始めた。例えば、女子はご飯食べに行った時に食べ物を分けるという期待、女性で理系なのは珍しいみたいな雰囲気がある。中間さんは高校時代からジェンダーに関する活動を始めた。しかし、高校時代ではイベントをしても、元々ジェンダーに関心ある人しか来なくて、無力感を感じた。
2019年にVOICE UP JAPAN(VUJ)代表の山本和奈さんは2018年12月25日号の「週刊SPA」が掲載した「ヤレるギャラ飲み」特集内「ヤレる女子大学ランキング」に対して抗議の署名運動を始めた。中間さんは「こんな活動をしているところがあるのか」と初めてVUJの存在を知った。「この署名活動は、興味がない人や反対意見を持つ人にも声を届ける活動だった。こういう活動に参加したいと思い、VUJに入った」と中間さんは言う。
VUJはジェンダー、人種、国籍などに関係なく、誰もが平等な権利を持ち、自分の声を発信できる社会を作るために2019年から活動している一般社団法人だ。就職活動でのセクハラ問題を取り上げるなど注目を集めている。学生支部は、国際基督教大学から始めて、2020年に早稲田支部が出来た。本部が主催する活動もあって、支部から参加することができるし、参加しなくてもいいという自由な雰囲気だ。団体のメンバーの性別比は女性の方が多いが、大学の支部によって男性が多い支部もある。
VOICE UP JAPAN早稲田支部に所属している中間さん
早稲田支部の学生メンバーは約20人、Facebook、Twitter、Instagramのソーシャルアカウントは2500前後のフォロアーを持っている。中間さんは「早稲田支部の活動を通して、早稲田を包括的かつ安心できるキャンパスにしていくことを目指す。また、性的同意などの学生生活において重要な考えを学生たちに広める」と語った。今の時点では早稲田支部の学生たちは性的同意プロジェクトと生理用品プロジェクトを中心に活動している。
性的同意プロジェクトは、大学と性暴力を廃止したいジェンダー団体とコラボレーションして、性暴力をなくすための「性的同意書」ハンドブックを作って、新入生に配る。生理用品というプロジェクトは、生理について正しい知識を広げるために寄付プロジェクトだ。中間さんは「生理用品企画ではいろいろな工夫を考えた。最初は大学のトイレで無料な生理用品を設置したいと思った。トランスジェンダーの方もいるので、男性トイレも置きたい。これについて大学と交渉をしたが、結果として大学から難しいと告げられた」と言う。また、生理に関する知識を整理して、ポスターを大学に掲示したいが、公の場に生理に関する知識を見たくない人もいるという理由でできなかった。そこで、早稲田のボランティアセンターと協力して、生理用品の寄付箱を設置した。「いろいろに断られたが、最後に生理用品の寄付箱を設置することができて、とてもやりがいを感じた」と言う。「公共の場にそういうものを置かせてくれて、ありがたい」とは中間さんは感謝した。
【早稲田ボランティアセンターに置ける生理用品寄付箱=7月12日、張思楊撮影】
生理用品ドライブ(寄付企画)は5月15日から春学期末まで募集している。募集した生理用品は「足立区男女参画プラザ」へ寄付して、生理用品必要な人へ届けられる。「このプロジェクトは生理の貧困に直面していて、一部の人を支援できる」と、プロジェクトの目的だと語った。
今年9月から4年生になる中間さんに将来の進路を聞いた。進路について迷っている。しかし、「ジェンダーのような社会問題は社会の構造や私たちが普段生活する社会のシステムに作り上げられているものだから、それを構造から問い直すようなことが実践的にできたらいいな」というのが中間さんの考えだ。将来に何をしても運動に参加し続けたいという気持ちが強く伝わってきた。
※この記事は2022年春学期「ニューズライティング入門」(朝日新聞提携講座)」(岡田力講師)において作成しました。
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