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難しいごみ分別~東京23区の現実から賢い方法を探る

 ごみの分別の仕方は、処分場や焼却炉の状況、自治体の考え方等によって大きく異なる。東京23区は、ごみの6割を占めるといわれる容器包装プラスチックをこれまで不燃物として埋め立て処分をしてきたが、少し前から、資源ごみとしての回収(プラ資源回収)やサーマルリサイクル(熱回収)の分別処理が始まった。ごみ処分場の残り容積があと30年程度と少なくなったためだ。ごみの分別処理の実情について考えてみたい。

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ごみ捨てのたびに悩む日々

  私が住んでいる区では、2008年4月から、容器包装プラスチックを資源回収し、それ以外のプラスチック等を可燃ごみとして焼却することになった(表参照)。それまで週1回の不燃ごみの日には、45ℓのごみ袋を満杯にして出していたが、変更後は小さな袋で月1回出せば十分になった。08年10月から実施した区もある。

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 なお、足立区など容器包装プラスチックを資源ごみとして回収(プラ資源回収)しない区では、すべてのプラスチックを可燃ごみとし、生ごみ等と一緒に燃やしてサーマルリサイクルを行っている
 また、港区は
23区で唯一200810月からすべてのプラスチック(汚れが落とせないものを除く)を資源回収している。上記3区分のほか、びん、缶、ペットボトルの回収、粗大ごみ(30cm以上のごみ)の有料回収等も行われている。

 現実はというと、分別作業はかなり大変で悩みが多い。我が家では、家族が捨てたごみを一つずつ拾って分け直すことが私の日課となり、大きなストレスを生み出している。

 容器包装プラスチックは、[プラ]マークを探して水洗いするなどきれいにし、プラ資源回収用にまとめる。汚れがとれそうにないもの、容器包装プラスチックに該当しないプラスチック製品は、心の中で「サーマルリサイクル(熱回収)」と叫びながら罪悪感を消して、思い切って捨てている。

 

「プラスチック=不燃ごみ」はルール違反

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 ところが、[プラ]マークは、ヨーグルト製品の紙カップ部分などプラスチック部分以外についていることも少なくなく、見つけるのが一苦労だ。また、梱包材、緩衝材のようにマークがなくてもプラ資源回収対象となるものもある。材質が似ていても実はアルミで、不燃物として出さなければならない場合もある。紙パックジュースに付属しているストローや洗濯洗剤計量用のスプーンは、「容器包装プラスチック」としては扱われないので可燃ごみに出す、そのストローを包んでいたプラスチックはプラ資源回収に出す・・・。

 このように分別は至難の業だ。わからなければ、金属等限られたもの以外はすべて可燃ごみに出せばいいのだが、「プラスチック=不燃物」とつい考えがちだ。うまくできないのは、我が家族だけではない。変更から4ヶ月近く経ってようやく区がルール違反のごみの「回収拒否」に乗り出しても、近所の大部分の人は、まだ以前のように、プラスチックを不燃ごみとして出している。 こうしたルール破りがどんな結果を招くのか、ごみ処理の仕組みを調べてみた。

 

「迷った場合は、可燃ごみに」

 東京の不燃ごみは、東京湾にある中央防波堤埋め立て処分場へ運ばれて、埋められる。運ぶ回数を減らすため、都内10カ所(2008年度末に5カ所廃止)の中継所で圧縮処理し、体積を6分の1から9分の1程度に小さくする。この作業を手がける新宿中継所の小山さんによると、ルール違反のごみを取り除かず、そのまま圧縮している。そのため「ガスを抜いていないガスボンベ、スプレー缶による火災が頻繁に発生し、1台1千万円もする新車の収集車が廃車になったこともある」(小山さん)という。東京23区清掃一部事務組合の古舘さんによると、分別をきちんとすれば、ごみ処分場の寿命を50年に延ばすことができる、という。東京湾にはこれ以上処分場を作れないだろう。人の命とごみ処分場の使用可能期間にかかわる問題であり、一人一人がごみの行く末をイメージしながらきちんと分けて出す必要がある、と思う。

 では、プラスチックの分別で迷った場合、どうすればいいのか。

 可燃ごみを処理する目黒清掃工場の霜田さんは、「迷ったら、全部可燃ごみとして出せばよい」と教えてくれた。

 「プラスチックは、800度以上で焼却すればダイオキシンなどの有害物質を出すこともない。高い熱量を発するので、サーマルリサイクルによってより多くの電力や温水が生み出され、それがお金に変わる。金属等が混じっていても年2回の焼却炉の定期点検時に排出できる」という。 ところが、不燃ごみとして出せば、リサイクルできないばかりか、処理経費が余分に必要となり、最終処分場の使用可能期間も短くしてしまう。霜田さんによると、収集車1台(1トン)分の収集・運搬・処理に56,405円の税金が使われている。

 こうした仕組みをきちんと知って、賢い排出者になろうではないか。ごみは出すまでが勝負だ。

 余裕があればできるだけていねいに分別し、余裕がなければ、金属等だけ不燃物に分けてあとはすべて可燃ごみ。これなら我が家でもできそうである。

 

 
※この記事は、08年前期のJ-School講義「ニューズルームD」において、瀬川至朗先生の指導のもとに作成しました。

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