WASEDA AI LAB代表 末富ニコラス健丸さん(23)。特技は語学。4ヶ国語を流暢に扱うマルチリンガルだ=2019年7月8日、東京都新宿区の早稲田大

A I を学べる学生団体 WASEDA AI LAB 誕生!

 2019年4月1日、早稲田大学にAIを学べる新たな学生団体が誕生した。WASEDA AI LABは、国籍・大学・学部問わず、データサイエンスについて学びたいと思う学生のための組織だ。20名のコアメンバーを軸とし活動を展開する。これまでも、AI事業を展開する企業とコラボし競馬予想を行う体験型イベントを催すなど、日本のAI(人工知能)人材不足問題を解決したいという思いで活動をしている。

(トップの写真:WASEDA AI LAB代表 末富ニコラス健丸さん(23)。特技は語学。4ヶ国語を流暢に扱うマルチリンガルだ=2019年7月8日、東京都新宿区の早稲田大)

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 同団体の代表である末富ニコラス健丸さん(23)は、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程の学生だ。団体創設の大きなきっかけは、北京大学へ交換留学の経験である。「大学の売店は無人で、全てキャッシュレス。それまで自分が最先端だと思っていたスマホ決済を超えて、事前に情報を登録する事で、顔認証による決済ができたことに大きな衝撃を受けた」と話す。その経験を通じ、「技術が人の生活をこんなにも変えるのか」と思い、日本でAIをもっと普及させていきたいと思うようになった。

 平成30年3月23日に発表された内閣府「これまでの政府の取り組み」によると、2018年度における政府のAI分野予算は約770億円で、米国の約5000億、中国の約4500億円とはかなりの差がある。こうしたデータからも日本がAI分野の先進国から遅れをとっている事が分かる。

 副代表の牧山秀文さん(23)も、日本の大学でAIを学ぶ環境が全体的に少ないことに問題意識を持つ一人だ。同大学政治経済学部卒業生で、学部時代からAIに興味を持ち続けており、9月からIT企業への就職が決まっている。「文系学生は、統計・数学・プログラミングと、AIを勉強するためのハードルは高いが、それを学校側は体系的に理解していない。彼らがAIを勉強できる機会は少ないのです」と話す。こうした問題意識を末富さんと共有し、団体を立ち上げた。

 6月29日には、AIを扱い競馬予想を行う企業とコラボ企画を催した。過去の勝率や馬の基本情報などのデータを用いて、参加者各自で順位を予測し、実際にレースを観戦して、結果を解析した。普段日常生活では実感する機会が少ないAIの実践を、生のデータを使って、参加者自らが体験できる面白さがあった。

 将来的には、AIを使って食品ロス問題にアプローチしたいと話す。早稲田大学の近くにある飲食店と連帯し、それまで経験則で仕入れていた食材量や需要を、AIを活用して分析すれば、食材廃棄を減らすことに寄与できるのではないかという。これは食品ロス問題に対する取り組みだけでなく、飲食店側のコスト削減にもつながる。

 近々、AIに関する資格を取得するための勉強会を民間企業と催す予定だ。末富さんは「産業界や大学などいろんな人たちを巻き込み連帯していきたい。違う点と点を繋げてはじめて意味のある組織になる」と意気込んでいる。

この記事は2019年春学期「ニューズライティング入門(朝日新聞提携講座)」(柏木友紀講師)において作成しました。

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