女性と骨粗しょう症

 骨粗しょう症になるのは、女性が圧倒的に多い。特に閉経後、骨粗しょう症になる人は急激に増える。こうした更年期からの女性の病気を考え、産婦人科として、生涯にわたる女性の健康管理に取り組む医師が増え始めている。

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「ぴんぴんころり」に向けて

 骨粗しょう症は、骨の量が病的に減った状態のことだ。骨折しやすくなり、痛みで日常の行動が困難になる。背骨が曲がり、内臓が圧迫されることで、深刻な合併症を引き起こすこともある。 今年の日本産科婦人科学会で、新潟市民病院の倉林工・産婦人科部長は、「ぴんぴん」と長生きし「ころり」と大往生する、いわゆる「ぴんぴんころり」を目標に、女性が、骨と長く付き合っていくことの大切さを指摘した。  

 私たちの体の組織は、新陳代謝を繰り返している。骨も例外ではない。古い骨を壊し、新しい骨をつくるというサイクルを繰り返しながら、健康な骨が維持される。閉経後は、骨の代謝にかかわるエストロゲンが目立って減るため、骨の量が急に落ち込むのだ。 骨粗しょう症になると、長期の薬の服用が必要になる。従来はエストロゲンが主要な薬だった。しかし乳がんや子宮体がんを引き起こす危険があるとされ、現在は、ビスフォスフォネートとラロキシフェンという薬が主に使われるようになった。いずれも骨を壊す働きを抑える薬だ。 ビスフォスフォネートは、骨の量を増加させる効果が強く骨折防止のデータも豊富である。しかし作用が強すぎ、骨の質が悪くなると懸念される報告もある。ラロキシフェンは、骨の量を増加させる効果は弱いが、コレステロールを低下させ、心筋梗塞や脳卒中を減らすなど、全身への効果がある。

 「骨が極度に弱くなった高齢者はビスフォスフォネート、骨だけではなく全身のことを考えなくてはいけない閉経直後の女性はラロキシフェンが効果的」と倉林医師は話す。 女性の骨は中学から高校の時期に最も盛んにつくられ、20歳前後をピークになり閉経後骨の量は急激に減少する。骨にとって重要な時期の食生活を決めるのは母親だ。 「女性はお産のときから骨密度検診を受けるべきだ。母親が食事などのライフスタイルに気をつけることが子どもの健康につながる」。そう語る倉林医師は、閉経後からではなく、もっと早い時期からの女性の健康管理に取り組みたいと考えている。

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