お産の後は骨検診

 お産の後は、必ず骨密度検診を–。更年期を迎えた中高年の女性に多い骨粗鬆(そしょう)症。その予防と治療に力を入れる産婦人科医が増え始めている。出産後のお母さんを対象とした骨密度検診は、骨を大切にする生活習慣を若いうちに身に付けてもらう狙いがある。早くからこの分野に取り組んできた新潟市民病院の倉林工産婦人科部長に話を聞いた。

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「女性診療科」としての産婦人科へ

 骨粗鬆症は、骨の量が減って骨がスカスカでもろくなり、骨折しやすくなる。更年期になって女性ホルモンの分泌が減少することが、骨量の低下にかかわっているという。  

 倉林医師は、中高年の骨折を防ぐには、骨粗鬆症の早期の予防と治療が大切だと考える。前任地の新潟大学病院では、お産を終えた女性に、躯幹骨二重エックス線吸収法による骨密度検診を実施し、早い段階から骨の健康に関心を持ってもらうよう取り組んできた。 妊娠と出産、授乳を経験した女性は、骨の量が一時的に減少する。出産直後の骨の健康度を知ることは、母親が産後のカルシウム摂取の大切さを知り、自らの食生活を見直すきっかけとなる。そして、食生活の重要性を理解した母親が生まれてきた子どもの食事に気を使い、その子どもが将来、骨粗鬆症になるのを予防することにもつながるという。

 産婦人科の仕事は、出産で終わりではない。更年期に至るまで女性の体をチェックし、もし、骨量が減少して骨粗鬆症の兆候が出始めたら、ビスフォスフォネートとラロキシフェンがなどの治療薬を投与し骨量の減少を食い止める。骨折を未然に防ぐことも、産婦人科の重要な役割といえる。 倉林医師によると、かつての産婦人科は「出産」「不妊治療」「婦人科のがん」が3つの柱だった。15年前、指導教授から「更年期女性の骨を研究テーマに」と言われたときは戸惑った。骨粗鬆症は整形外科や内科のテーマであり、産婦人科医で骨粗鬆症を研究している人はほとんどいなかったからだ。  

 しかし、時代が変わり、近年は「中高年女性の健康管理」が、産婦人科の「第4の柱」として注目されるようになった。一方で、国内の出産数は減り続けている。とくに、産婦人科医1人だけの医院は、お産だけではやっていけない側面もある。 倉林さんは「これからの産婦人科は、女性をトータルにみる『女性診療科』としての役割がますます大切になるだろう」と話している。

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