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早稲田らしく、青春を送ろう──「本庄~早稲田100キロハイク」

毎年5月、足の痛みに耐え、新しい友達を作りながら、学生たちが約100キロを歩き通す。「本庄~早稲田100キロハイク」は、埼玉県本庄市から早稲田大学までを2日間かけて歩くイベントだ。1962年に始まり、今では早慶戦、早稲田祭と並ぶ早稲田の名物行事となっている。

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苦楽をともに、1300人が励ましあって歩く

  今年5月22日、午前8時半ごろ。早大本庄キャンパスがある埼玉県本庄市のスーパー、アピタ本庄店の駐車場に、「学生注目!」という叫び声が響き渡った。早稲田大学政治経済学部経済学科3年の横林亮(22)さんが、「第48回本庄~早稲田100キロハイク」(通称「100ハイ」)の実行委員長として、開会式の挨拶を始めた。今年の参加者は1300人。周囲は、様々な仮装をし、写真撮影やおしゃべりを楽しむ人達でいっぱいだ。

  歩き始めて2、3時間たつと、参加者の足が痛くなり、苦しい表情が出始める。それでもみんな、励ましあって、一歩ずつ進む。分かれ道などでは、参加者が道を間違えないように、簡単な看板を持ったスタッフが立っている。ようやく最初の休憩所に着くと、弁当とドリンクが配られ、誰もが大喜び。体育館などの休憩所で1泊してさらに歩き、翌日午後8時の閉会式までは、肉体的、精神的な苦痛が続く。

 

「非常識なところがいい」

  「100ハイ」は、早稲田精神の昂揚を目標とする「早稲田精神昂揚会」というサークルが、1962年にアメリカ大陸を徒歩横断して歩くことの大切さを知り、日本でも伝えたいと思って始めたイベントだ。本番は毎年5月末だが、前年の9月には、昂揚会のほか、早慶戦支援会などの有志サークルから12人の実行委員会のメンバーを決める。翌年3月から他のスタッフを募集し、準備を始める。

  横林さんが語る100ハイの魅力は、「まさか100キロも歩くなんてと、あまりにも馬鹿馬鹿しくて、普通にはだれにも想像さえできないと思う。その非常識なところがいい」。

  また、同じ人が毎年参加しても、年ごとに体験が違う。横林さん自身は、1年生で初めて参加した時、休憩所の場所やイベントの流れが分からないまま、ゴールに着いてしまった。あまりの筋肉痛で、次の1週間は授業に出られなかった。2年目からは、途中の休憩の場所は覚えておいたし、参加者の中で仲間を作り、様々な思い出ができた。毎年の体験と感動は、参加しなければ分からないと、横林さんは言う。

 

希望者全員が参加できる100ハイを目指して

  毎年規模が拡大し、第1回は数十人だった参加人数が大幅に増えただけでなく、埼玉のテレビ局やNHKも報道するようになった。横林さんはそれをうれしく思う一方で、残念に思うこともある。学外の人が参加できないことと、学内でも今年は応募者が多く、抽選に当たった人しか参加できなかったことだ。今後は、一層規模を拡大し、知名度を高くするよりも、「参加したい人が全員出られるようになること」を目指してほしいという。

  今年の「100ハイ」は大成功ですね、と質問すると、「いや、まだです。協力してくれた各休憩所、路上でお弁当や飲み物を差し入れてくれた方々、特に本庄市役所の皆さんに、感謝のお礼をしなければ」。残った仕事をすませるのは恐らく6月までかかる。そしてまもなく、来年の「100キロハイク」の準備が始まるのだ。

トップ写真:横林亮さん提供

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【参考ページ】
◆[2010]第48回本庄〜早稲田100キロハイク公式ウェブサイト
  http://100hai.mond.jp/
◆早稲田精神昂揚会公式ウェブサイト
  http://wsk.michikusa.jp/

※この記事は、10年度J-school授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(林美子講師)において作成しました。

 

執筆:高揚帆

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