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「瀬戸内再発見」~芸術祭に向け、直島の内なる課題

2010年の海の日、直島、豊島、犬島など瀬戸内海の7つの島々を舞台に、「海の復権」をテーマとした瀬戸内国際芸術祭が始まる。100日間の会期中、約30万人の来場者が見込まれるが、主会場となる直島には、増加する観光客の車対策という大きな課題が浮上している。

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 観光客増加で懸念される交通事情

 芸術祭は2010年7月19日から10月31日までの間、高松港周辺と、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島の七つの島で開催される。香川県の芸術祭対策推進室は、目標来場者数を30万人としている。

 既に地中美術館やベネッセアートサイト直島など国内有数の美術館を持つ直島。現在でも年間34万人の観光客が直島を訪れ、来年の芸術祭期間中は更なる観光客増加が見込まれる。

 「昔みたいに、自転車や車で道路を走りにくくなった。とくに家プロジェクトの近くは観光客が多いので通らないようにしている。観光客が増えてもうちの駐車場は2台停めるのが限界」と語るのは、家プロジェクトがある本村地区で民宿を営む石井竹男さん (63)。芸術祭にむけては「期待も半分、心配も半分」だという。

 本村地区は昔ながらの町並みが残っており、中心部ですら道路は細く、車がすれ違うことができない場所がある。観光客の足となる町営バスが通行できないことも起きかねない。

 島と島をつなぐフェリーの増便や駐車場の確保へ行政も対応に苦心している。直島町建設経済課の大林清さん(54)によれば、「高速道路の無料化」によって、町営バスの利用者は減少傾向にあり、その一方、車で島内に入る観光客は増えるという。臨時駐車場の設置や高松宇野港での直島の来場者数や待ち時間の情報を提供するなど「できるところで対応するのが限界」と話す。

 「土日よりは平日に。開会当初よりは少し落ち着いてから、というように来場時期をずらすのも一つの手だ」と直島町役場総務課の濱中満さん(52)は指摘する。

 

山間の街灯少なく、自転車利用者にストレス

 また直島島内の山間には街灯が少なく、夜間、自転車で走ろうとする観光客にとっては危険なところも多い。 

 瀬戸内海「再発見」を狙う芸術祭の陰で、未だ受け入れる側の対策への課題は存在する。一人でも多くの観光客に瀬戸内海を再発見してもらうため、行政や実行委員会の環境整備に期待したい。

 
※この記事は、09年夏の「直島・豊島インターンシップ(ベネッセ、直島福武美術館財団など協力)」で、瀬川至朗先生の指導のもとに作製しました。

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