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ホストと連携してパトロール

歌舞伎町を健全な繁華街に

新宿・歌舞伎町のメインストリート「セントラルロード」。夕方6時、黄緑のベストをつけた集団が近づいてくると、道をふさいでいた黒いスーツの男たちは一斉にその場から散っていった。

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 歌舞伎町パトロール

 「パトロール始まっちゃったみたいだから、おれたち移動したほうがいいみたいですね・・・」。
 長く伸びた前髪、コロンの香りを漂わせ、銀色のネックレスが胸元に光っている。男たちは全員、近くの店でホストとして働いている。通行人の女性に声をかける「客引き」の最中だった。

 歌舞伎町に店を構えるホストクラブは約200店。このうち、合法的に営業しているのは「新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会」などに所属する1割程度。残りは客引きの禁止や営業時間などのルールを守らない「もぐり」とされる。
 歌舞伎町の飲食店主らでつくる商店街振興組合は2年前から週2回、黄緑色の蛍光ベストを着て、繁華街を見回っている。「迷惑行為撲滅活動」と呼び合っている。
 活動のメンバーには、ホストクラブ協力会に所属する約20店のホストたちも加わっている=写真。 ホストの仕事を始めて3年になるという男性(26)は、「パトロールをしていると、同じ仕事をする者同士だからよくわかるんだ。常連客と話しているだけなのか、実際に客引きをやっているのか・・・」。2週間前に秋田から上京したばかりだという新人男性(20)は「ホストが街頭パトロールなんて思ってもいなかった。でも、それも修行というか仕事だと思ってがんばります」。

様々な振興活動

 最近ではパトロール活動の成果も見え始めたという。振興組合事務局長の城克(じょう・まさる)さん(55)は「最初のころは客引き中のホストたちとの衝突も多かった。でも、しだいに理解が広がり、『パトロール中は、客引きはしてはいけない』という暗黙の了解が生まれた。パトロールをやらなくても、そういう状態が続くのが一番だが、そこまでなるにはもう少し時間がかかるでしょう」と話す。

 ホストたちは、パトロールに加え、毎月の清掃活動などにも積極的に参加している。09年6月には、協力会所属の有名店のホスト9人でつくる「歌舞伎超9」が、歌舞伎町の発展を願ってCDを発売。オリコン・インディーズチャートで初登場10位を獲得した。売り上げは、すべて歌舞伎町の振興資金にあてられている。
 振興組合理事長の片桐基次さん(60)は、歌舞伎町でビルオーナーや酒店などの事業を手がけている。「歌舞伎町は何もしなくても残っていく街。だが、いい形で残そうと思えば、アイデアはいくつあっても足らない。ホストたちとの協力もその一つです。歌舞伎町を世界一秩序正しい繁華街にするのが私の夢です」と語っている。

 

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※この記事は、09年前期のJ-School授業「ニューズルームD」において、
安永拓史先生の指導のもとに作成しました。

 

 

関連リンク
歌舞伎町商店街振興組合
歌舞伎超9「歌舞伎町へ行こう!」

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