
2009年12月29日
記事・写真 センジョブン
エコとアートの結びつき―空き缶アート「よいち座」
直島町本村農協の横の細い路地を入ると、たたみ二畳ほどの小さなお店がある。そこでは、ギタリスト、バイオリニスト、ダンサーなど、かわいい笑顔の空き缶たちがお客さんを迎えてくれる。児島彰さん(65)、利子さん(61)夫妻が経営する「よいち座」である
2009年12月29日
記事・写真 センジョブン
直島町本村農協の横の細い路地を入ると、たたみ二畳ほどの小さなお店がある。そこでは、ギタリスト、バイオリニスト、ダンサーなど、かわいい笑顔の空き缶たちがお客さんを迎えてくれる。児島彰さん(65)、利子さん(61)夫妻が経営する「よいち座」である
2005年、定年になった彰さんが、車椅子を寄付するため、プルタブを集め始めた。そのとき、プルタブを取った空き缶の表面は、人の笑顔のようになることに気づいた。直島アートプロジェクトが波に乗った時期だった。彰さんは、アートとゴミが結びつけ、空き缶アートの作品を作り始めた。最初は飾り物として近所のお店に置いてみた。「商品にしてみれば?」という声がどんどんかかってきた。それがきっかけで、夫妻は自宅の玄関を使い、店をオープンした。店名には古くからの屋号を用いた。
夫妻が大切に考えているのが、若い人たちとの交流だ。彰さんはお客さんから褒められたり、質問されたりすることが励みになる。接客担当の利子さんも「商品を買わなくても声をかけられるのが嬉しい」「お客さんと会話するだけで、元気をもらえるようになった」と話す。
利子さんは、直島の変化を肌で感じている。10年ほど前、直島はまだ閉鎖的な島で、観光客も少なかった。島民たちは自分のリズムで暮らしていた。ベネッセのアート島事業が始まってから、島の人は少しずつ観光客を受け入れるようになった。今、島民たちは観光客に親切で熱心に接している。また、アート島で有名になったことで、直島の人はアートの魅力を知るようになった。その中で、空き缶アートは地元発である。「空き缶アートを通じて、世界中の観光客にアートとエコの結びつきを伝えたい」。利子さんは空き缶の将来についてアピールした。