空き缶アート「よいち座」3

エコとアートの結びつき―空き缶アート「よいち座」

直島町本村農協の横の細い路地を入ると、たたみ二畳ほどの小さなお店がある。そこでは、ギタリスト、バイオリニスト、ダンサーなど、かわいい笑顔の空き缶たちがお客さんを迎えてくれる。児島彰さん(65)、利子さん(61)夫妻が経営する「よいち座」である

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 空き缶アート「よいち座」の由来

 2005年、定年になった彰さんが、車椅子を寄付するため、プルタブを集め始めた。そのとき、プルタブを取った空き缶の表面は、人の笑顔のようになることに気づいた。直島アートプロジェクトが波に乗った時期だった。彰さんは、アートとゴミが結びつけ、空き缶アートの作品を作り始めた。最初は飾り物として近所のお店に置いてみた。「商品にしてみれば?」という声がどんどんかかってきた。それがきっかけで、夫妻は自宅の玄関を使い、店をオープンした。店名には古くからの屋号を用いた。

 

お客さんと交流のできる場所になれば良い

 夫妻が大切に考えているのが、若い人たちとの交流だ。彰さんはお客さんから褒められたり、質問されたりすることが励みになる。接客担当の利子さんも「商品を買わなくても声をかけられるのが嬉しい」「お客さんと会話するだけで、元気をもらえるようになった」と話す。

 利子さんは、直島の変化を肌で感じている。10年ほど前、直島はまだ閉鎖的な島で、観光客も少なかった。島民たちは自分のリズムで暮らしていた。ベネッセのアート島事業が始まってから、島の人は少しずつ観光客を受け入れるようになった。今、島民たちは観光客に親切で熱心に接している。また、アート島で有名になったことで、直島の人はアートの魅力を知るようになった。その中で、空き缶アートは地元発である。「空き缶アートを通じて、世界中の観光客にアートとエコの結びつきを伝えたい」。利子さんは空き缶の将来についてアピールした。

 

関連リンク:「素顔の直島」サイト内「よいち座」

※この記事は、09年夏の「直島・豊島インターンシップ(ベネッセ、直島福武美術館財団など協力)」で、瀬川至朗先生の指導のもとに作製しました。

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