CoSTEP・ポスターセッション見学雑感

 シンポジウム併設のポスターセッションは味気なくて退屈。こんな先入観に凝り固まっていた私は、今回、認識を改めることになった。幅1メートル程のパネルの前で、発表者と見学者が話し合う姿は、まさに「どこでもサイエンスカフェ」。科学好きが集まっているとはいえ、見る人を引き込む熱意とコミュニケーション能力には、CoSTEP1年間の成果が確かに現れていると感じた。ここでは、そのなかで私が特に興味をもって話を聞いた2件について紹介しよう。

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 実習の修了生(1期生)と受講生が新聞デビューした『散歩でサイエンス』。この記事は、北海道新聞札幌版に、2006年4月8日から隔週土曜日に掲載されている。  これまでに22回掲載された記事は、あくまで地域密着型のスタンスにこだわったものだ。市内に広がるたまねぎ畑からメンデルの法則を、サッポロビール博物館から酵母の働きや発酵と腐敗の違いを説明するなど、どれをとってもおもしろい試みが並ぶ。開始に当たっては、新聞社の方から表記についての留意点などの説明も受け、また毎回の原稿はプロの校正を受けるので最高の経験になっている、と大学の指導陣は語った。  

 次に注目したのが小・中学校や高校へ出かけて行う「出前授業」。小学校4年生を対象に「凍る瞬間を見よう」と題した凍結・融解に関する実験授業や、小学校3年生に「空気」を題材にした授業を実施した。 学習内容との連携のための先生方と打ち合わせや入念な実験準備、子供を厭きさせない話し方の工夫などなど。当日の授業以外にも見えない苦労の多い出前授業を、受講生が自主的に楽しみながら実現しているバイタリティーに圧倒される思いだった。  受講者からは、科学が好きで人に伝えたいという情熱だけではなく、札幌が好き、北海道が好きという地域に対する愛着の強さが伝わってきた。同時に、地域の人たちが北海道大学CoSTEPの熱い思いを受けとめ、活躍に期待している温かさも感じた。

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