JAXAが目指す有人宇宙開発

 2006年5月に千葉市の幕張メッセで開かれた日本地球惑星科学連合大会で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)総合技術研究本部参事の木部勢至朗さんが、各国の宇宙開発の現状、およびJAXAの長期目標についての講演を行った。日本の宇宙開発の重要性を強調する木部さんにインタビューした。

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日本独自の宇宙開発を

 JAXAは2005年1月、宇宙開発の長期ビジョンを発表した。その中で有人宇宙技術について、「20年後頃までに、次期国際有人宇宙計画への参加を通じ、独自の有人滞在・活動を可能とする技術の確立を目指す」と指摘した。「技術の確立」というのは不透明な表現だが、JAXAとしては、いつでも日本独自の有人宇宙開発に乗り出せる準備をしておく考えのようだ。

 木部さんは、「将来の地球の危機に備えたリスク管理の意味での(有人)宇宙開発の必要性がある」と語る。しかし、有人宇宙開発は人類にとって必要であるだけでなく、日本にとっても必要だと言う。 「例えば20年先30年先、他の国は有人技術を持ち、好きなときに月へ行ける、軌道上へ行ける。しかし日本だけはアメリカにお願いしないと行けない、中国にお願いしないと行けない。その状況を日本として、日本国民として許せますか」  日本はこれまで、アメリカのスペースシャトルに便乗する形で、有人宇宙開発に参加してきた。一方、アメリカは、新宇宙政策を昨年1月に発表し、月への回帰と火星への有人探査を目標として掲げた。また、スペースシャトルの退役を控え、スペースシャトルに代わる、CEVと呼ばれる新たな有人輸送システムを開発している。中国が独自の有人飛行に連続して成功する中で、日本の有人宇宙開発のあり方が問い直される時期になったといえる。

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