大塚さん

「家族に食べさせたい」を 日替わりランチで提供

 東京・大手町の玄米カフェ「実身美(サンミ)」。木を基調とした明るい店内で多くの人が注文するのは、玄米とサラダ、メイン料理、野菜の小鉢2種類が載ったワンプレートメニューだ。千円で健康的な食事ができるのが人気で、毎日200人を超える人が訪れ、昼過ぎには店の外まで行列ができる。「家族に食べさせたいと思える食事を提供したい」と、大塚三紀子(みきこ)さん(39)が、大阪・あべの店などに続いて2015年7月に開いた。「従業員の個性を生かし、訪れた人に感動してもらえる店をつくりたい」と語る。

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 大塚さんは大阪生まれで、関西大学法学部を卒業後、税理士事務所で秘書として働いた。忙しさによるストレスがたたったのか、顎(がく)関節症になり朝起きると口が開かなかったり、頭痛やめまいによる吐き気に襲われたりするようになった。「毎日同じようなものを食べていたことも影響したのだと思います」と振り返る。

 その時の経験から、食べることや健康の大切さに気づき、体にいい食事を提供する店を開きたいと思うようになった。勤めを辞め、大阪・阿部野に1号店を開いたのは、02年12月。最初のころは仕事が終わらず、真冬に店の床に寝袋で寝たこともあったという。   

 「実身美」という店名には、〝「実」があって「身」体に良くて「美」しくなる〟という思いを込めた。その名の通り店では新鮮な食材を使い、冬には白湯、それ以外の季節は常温の水だけを置くなど、お客さんの健康を気遣って細かな気配りをしている。配慮に気づいたお客さんから「家の近くにもこの店があればいいのに」と言われた時には、「思いが通じたとうれしくなりました」。

 大手町店は、大阪・心斎橋や京橋店、沖縄・那覇店などに続く6店目として開いた。関西と関東とを行き来しながら、慣れない土地でゼロから店を育てていくのは大変だが、「違う価値観を持った人と触れ合うと自分が新しくなれる。成長のチャンスだと思っています」と話す。

 息抜きは、共に働いている人たちと食事や銭湯に行くことだ。休みが取れないわけではないが、「仕事が趣味のようなもの」といい、仕事と休みの境目は意識的に設けていない。

 いずれはすべての都道府県に店を出したいと思っているが、急ぐつもりはない。それよりも、従業員一人ひとりの個性を生かし、お客さんに感動してもらえる「生きた店」を作りたいという。「店舗の数を追い求めるのではなく、時間をかけて良い文化や人を育てていきたいです」と力を込める。

 

この記事は2016年春学期「ニューズライティング入門(朝日新聞提携講座)」(林 恒樹講師)において作成しました。

 

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