2011年7月7日
取材・執筆・撮影:佐竹祐哉
カエルに恋して
‐吉祥寺Cave店主 石坂ユカさん‐
右を見てもカエル。左を見てもカエル。小さな置物や文房具、バッグなど、古今東西、色とりどりのカエルグッズで12坪ほどの小さな店内があふれ「かえる」光景は圧巻だ。そんなカエルファンの聖地と言われる店が、武蔵野市吉祥寺にある。カエルグッズ専門店「Cave」。店主の石坂ユカさんも生粋の「カエラー」だ。
2011年7月7日
取材・執筆・撮影:佐竹祐哉
右を見てもカエル。左を見てもカエル。小さな置物や文房具、バッグなど、古今東西、色とりどりのカエルグッズで12坪ほどの小さな店内があふれ「かえる」光景は圧巻だ。そんなカエルファンの聖地と言われる店が、武蔵野市吉祥寺にある。カエルグッズ専門店「Cave」。店主の石坂ユカさんも生粋の「カエラー」だ。
カエルの魅力は特徴的なスタイルにある。「意外に足が長くてスッとしている。でも逆にお腹がポコッとしていて可愛いんです」。穏やかな雰囲気でゆっくり、熱心にカエルの魅力を語る。「口角が上がっていて、笑っているように見えるところも好きですね」
きっかけは、大学時代に友人から「カエルに似ている」と言われたこと。何となく意識するようになり、いつの間にかカエルの虜になった。アンティークのカエルグッズを物色する為にアメリカへ行った事もある。筋金入りのカエルグッズコレクターである。
日本大学芸術学部卒。就職活動はしなかった。21歳の時インドへ行き、人々の自由でおおらかな姿を見て、彼らのような生き方も良いと感じた。雑貨屋でアルバイトをしていたこともあり、漠然と「雑貨屋をやりたい」と思い始めた。卒業後は、派遣社員として証券会社やIT企業の事務をして資金を貯めた。1999年、念願の「Cave」を開く。
当初はカエルグッズを専門で扱う問屋も無く、商品の仕入れに苦労した。店の内装や土地代にお金がかかり、棚はすかすか。カエルは気持ち悪い、と言う人もいたという。「負けてたまるか!」と踏ん張った。
風向きが変わったのは、開店後しばらくしてインターネット通販を始めた時。全国から注文が入り、デザイナーからの商品の持ち込みも増えた。「カエルが市民権を得たんだ」
常連も増えた。遠方からはるばる訪れる人もいる。「カエルが普通にいる生活になったらいいなと思うんです」。カエルに囲まれた店内で楽しそうに微笑んだ。「このお店を開いて幸せかな。幸せですね」
※この記事は、2011年度J-School春学期授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(林美子講師)において作成しました。