Tokyo marathon

東京マラソン、抽選方法の記録文書なし・抽選の公平さは不透明

 毎年2月に開催される東京マラソン(東京マラソン財団主催)の一般申し込みが8月1日から8月31日まで実施されている。マラソンブームに火を付けたとされる市民マラソンの一つだが、その抽選方法がどのように行われているのか、明らかにされていなかった。早稲田大学ジャーナリズムコース(Jスクール)取材班の記者が、大会主催者である「東京マラソン財団」に対し情報公開請求を行ったところ、抽選方法に関する記録文書などについて一切存在していなかったことがわかった。
=画像は東京マラソン2013のHP

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 東京マラソン財団は、2010年、同マラソンの安定的な運営のため、東京都と日本陸上競技連盟が設立した一般財団法人だ。東京マラソンは、東京都庁をスタートし、皇居、品川、浅草、銀座などを通り有明の「東京ビックサイト」をゴールにしていて、走りながら東京の主要観光地を巡ることができる。大会の中心種目であるフルマラソンの部は、3万人強の出場枠を巡って、年々人気が加速し、近年では競争倍率が約10倍にまでに上っている。出場者の決定は抽選とされているが、これまで、「定員を超えた際には抽選」とされていただけで、具体的な抽選方法については知られてはいなかった。

 今回、Jスクール記者は「東京マラソンにおける抽選方法のわかる文書」を東京マラソン財団に2011年11月8日付けで情報公開請求をした。2週間後の11月22日付けで全部開示決定がなされた。 

情報公開請求で開示されたのは申し込み用チラシ1枚

  同財団が提示してきた書類は、東京マラソンの参加申し込み用のチラシ1枚だった。チラシはスポーツ用品店などで配布されていた申し込みチラシで、情報公開請求をしなくても入手が可能なものだった。「応募者多数の場合には抽選を行う」との内容の書かれた文章が記載されていただけで具体的な抽選方法については言及されてはいない。

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申し込みから大会参加までの流れ=東京マラソン2013のHPより

 

 記者は同財団に、全部開示の内容について説明を求めた。財団担当者は「チラシが公文書であると認識した。抽選方法については断片的に委託業者から聞いているだけで、公文書は何らない」と説明した。また、公文書ではないが、チラシとは別に、申し込み者の抽選手順に関するメモ書きがあることが後日判明した。

 記者に示されたメモ書きの表題には「エントリーに関する手順」とあったが、抽選方法は「コンピュータによる無作為抽選」とのみ記述されていて、具体的な抽選のやり方や抽選時期などは記されていなかった。メモ書きは提示されたものの、担当者からはメモ書きの出所については一切説明はなかった。公平性が求められる抽選方法に関する書類を主催者が所有せず、委託業者に丸投げしていたために抽選方法について主催者が把握をしていない実態が浮き彫りにになった格好だ。

 この件に関して、財団担当者は「担当者レベルでは抽選をする時期を把握している程度で、それ以上のものは文書がない以上確認できない」と説明した。

※この記事は、J-School実践授業「調査報道の方法」において作成しました。
 
参考URL
東京マラソン2013公式HP     http://www.tokyo42195.org/2013/
一般財団法人 東京マラソン財団 http://www.tokyo42195.org/tokyo_marathon_foundation/

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