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豊島 棚田再生に奮闘中

世界がうらやむ楽園へ

 豊島(香川県土庄町)の住民や棚田保存会、直島福武美術館財団らは、今年7月、草や竹林で覆われている豊島の休耕田を棚田として再生させる作業をスタートした。瀬戸内海の島々を舞台に開催される2010年7月の「瀬戸内国際芸術祭」を機会に始まった豊島再生「食プロジェクト」の大切な一環である。

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原形がわからない棚田

 豊島の唐櫃に位置するこの棚田の広さは約100ヘクタールと、東京ドーム2つ分以上の面積がある、かつては、あたり一面が田んぼだったが、現在は木々や植物におおわれ、森や竹林となって原形がわからない状態になっている。

 棚田再生の仕事はほぼ毎日続けられている。真夏の日差しは強く、いろいろな虫もいる。日々決められた範囲の草刈をし、刈り取った草の乾きを見ながら、集めては燃やしたりする。高温のなかの作業は大変だが、従業員の方々は楽しみながら取り組んでいる。
 

豊島の未来に向けて

 「食プロジェクト」のスタッフ高山健太郎さん(27)は、「作業は慣れたら大丈夫ですよ、かなりの長期戦になりそうですが、みんなで力を合わせて頑張り、荒地を開拓して田んぼや畑に戻し、お米や野菜を作って楽しもうと思います」と語った。

 現在の計画では、休耕田と森・竹林のエリアにわけて、休耕田では草刈、森や竹林は、伐採などを行い、平坦な土地に戻す開墾作業を今年度中に終える予定だ。2010年の3月までに棚田の原形を取り戻す。

 豊島には、1975年から産業廃棄物が大量に投棄され、日本最大の産廃の不法投棄という大問題になった。そのため、「豊島といえばごみ」というイメージを持っている日本人が多いのではないだろうか。その島が今、瀬戸内国際芸術祭をきっかけに、自然の恩恵(農地や海)を利用した食プロジェクトと美術館の運営を二つの柱に、「食とアート」、「自然と人工」というテーマで、いろいろな活動を展開している。今後数十年間、豊島は現代アートと食を生かし、世界がうらやむ楽園になるだろう。

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※この記事は、09年夏の「直島・豊島インターンシップ(ベネッセ、直島福武美術館財団など協力)」で、瀬川至朗先生の指導のもとに作製しました。

 

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