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小児がんの子どもたちを描いた映画の上映会とトークショーが開催

 東京・世田谷区の北沢タウンホールで7月1日午後3時半から、ドキュメンタリー映画「風のかたち」の上映会と、映画を監督した伊勢真一さん(60)と聖路加国際病院副医院長の細谷亮太医師(61)ら3人のトークショーが開かれた。

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 ドキュメンタリー映画「風のかたち」

  この映画は、小児科医である細谷医師らが、小児がんと闘病する子どもたちを集めて、毎夏、山梨県・清里高原や北海道・滝川市の山林などで数日間、開催しているサマーキャンプを記録したもので、自然の中で感動し、仲間と触れ合う子どもたちの姿を描いた作品。1998年にスタートしたキャンプには毎回、患者の子どもとボランティア、医療関係者ら約100人が参加。映画は10年間の子どもたちの成長や闘病の記録となっている。

   小児がんは、白血病や、筋肉や骨のがんが多く、致死率が高かった。ところが最近30年間に抗がん剤の成績は向上し、抗生物質を使用する支持療法が進歩した。そのため、今では約8割の子どもが助かるようになっている。ところがいまでも「不治の病」と受け止める人も多く、小児がんの子供たちは学校や周囲の人たちから差別や偏見を受ける例も少なくない。

   「テレビドラマでは白血病は絶対に死ぬ。治る人も多いのに白血病と言えば死というイメージが定着してしまい、自分の病気を同級生らに知られるのが怖い」

   映画はこうした子どもたちの訴えも収録。お互いに悩みを打ち明け合い、励ましあう子どもたちの表情を、カメラは温かい目で追う。さらに病気を克服し、成長して看護婦になる子もいれば、病に勝てずに亡くなる子どももいるなど、真剣に生きる子どもたちの素顔が、そのまま「生きる意味」を考えさせる記録となっている。

    トークショーで、伊勢監督は「小児がんへの理解に繋がればと思って撮り始めたが、亡くなった子どもも映画の中で生き続けている姿を見ると、私自身がいのちのバトンを渡された気持ちだ」と語り、また、細谷医師は「病気を克服した子どもたちは優しくそして逞しく、周囲に大きな勇気を与える。たくさんの人に映画を見てもらい、彼らがいかに大切な時間を生きたのか、それを分かってもらいたい」と話した。

   会場では、小児がん患者の家族を含む参加者約200人が、映画制作をめぐる話題などのトークショーを熱心に聞いていた。

 

 <今後の上映予定>

 8月1日から28日まで、東京都中野区の映画館・ポレポレ東中野で、午前10時30分からと午前12時40分からの1日計2回、上映予定。上映時間は1時間45分。

 8月1日、2日は伊勢監督の舞台挨拶、8月1日は伊勢監督と細谷医師によるトークショーあり。問い合わせは、いせFILM(03-3406-9455)まで。

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※この記事は、09年前期のMAJESTy講義「科学コミュニケーション実習3A」において、小出重幸先生の指導のもとに作成しました。

 

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