阿佐谷ネットワークの仕掛け人

阿佐谷ネットワークの仕掛け人

 東京・阿佐ケ谷で5月、今年で4回目を迎える「飲み屋さん祭り」が開催された。主催したのは、バー「MAD HOG KITCHEN」経営者の森口剛行さん(37)だ。イベントの目玉は、何軒回っても一杯目は無料になる「はしごチケット」。多くの人に地域の店を知ってもらい、店と参加者、そして参加者同士のつながりを作ってもらうことが目的だ。森口さんは毎年7月に行われる七夕祭りの運営にも関わるなど、地元住民の交流の場を大切にしている。

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 飲み屋さん祭りは、回を重ねるごとに規模が拡大し、今回は約100店舗が参加した。はじめは自分の足で店を一軒一軒訪ね、参加を募った。「歳を重ねていくごとに、自分の影響力、出来ることが増えていく。今回のイベントにしても、まさか開催できるとは思わなかった。今だったらとても出来ないと思うことが、1年後出来るようになっているかもしれない。1年って長いですよ」

 新たな出会いの場を作ることは、経営するバーが目指していることだ。2008年にオープンしたこの店は、カウンター席とテーブル席が4つほど。大きな特徴は、「日替わり店長制」を導入していることだ。曜日ごとに店長が変わり、店長の好きな酒や得意料理がメニューに並ぶ。それぞれの店長が知り合いを紹介することで、地元ネットワークの広がりを作ることを狙っている。客同士を紹介することにも積極的で、店で出会い、結婚したカップルもいるという。「自分がいなかったらこのつながりはなかったんだなと考えると、充実感を覚えます」

 立教大学文学部卒。卒業後はシステムエンジニアとして5年間働いた。「自分が始めたものだったら、自分が中心になれるじゃないですか。寂しがり屋だから、いろんな人が集まれる場所を作りたい」。正社員の職を捨て、知り合いから経営不振に陥った店を譲り受けたのが始まりだった。

 地元の人が出会える一つのきっかけとして、昼間、以前の経験を生かしてパソコン教室を店で開くことも考えている。「やる前からマイナスのことは考えない。とりあえずやってみて、それで少しは前に進むかな」

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※この記事は、13年度J-Schoolの授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(矢崎雅俊講師)において作成しました。

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