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情報流通を巡る旅(2): All right reservedってどんな意味?

 クリエイティブ・コモンズの世界大会「i summit」。2008年は07月29日から08月01日まで札幌で開催。初夏の北海道に全世界から関係者があつまった。

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  あなたは、この文章をウェブブラウザ上で見ているはずだ。ネット上にアップロードされているウェブの下方に、このような表示を見たことがあるだろう。

 These pages are all right reserved.

 個人で開設しているウェブページに、このような一文を記載している人もいるかも知れない。「このページの全ての権利を持っています。」と言う意味である。「このページは私が作りました」くらいの気持ちで使っている人も多いのだろうが、実はそんな軽い意味ではない。「全ての権利を私が持っているんだぞ! 」と強く主張しているのである。あなたのウェブページ上にあるコンテンツのすべての権利を、本当にあなたは持っているだろうか。 

   権利にはさまざまなものがある。だが、ここでは著作権(と隣接する権利)だけに話題を絞ろう。たとえば、載せている写真はすべてあなたが撮ったものだろうか。Jポップを引用していたとしたら、あなたが作詞したのだろうか。ニュースについての意見を書いたとしても、そのもとの記事はあなたが取材して書いたのだろうか。これらのうち、ひとつでも「自分ではない……」となったなら、それはもうall right reservedとはいえない。あなた以外に権利者がいるコンテンツなのである。 

   写真、イラスト、歌、文章などの知的創作物は、著作物と呼ばれる。これらのすべての著作物には必ず著作権が発生している。そして、著作権がある作品には必ず著作権者がいる。著作権者が作者とは限らないが、あなたが自分のウェブページで、他人の作品を一部でも使おうと思ったら著作権者から許可を得なければならない。著作権者がall right reservedしているからだ。みんなが使っているじゃないか、とか、これぐらい良いじゃないか、といっても法的にはダメなのである。法的な状態と、技術的可能性と、そして現実とは、必ずしも一致した状態にあるとは限らない。

   そのほかに、とても古い作品には法律的に著作権が存在しないものもある。これは誰でもが自由に使って良い状態。つまり、no right reservedである。そして、意外だが世界中のほとんどの国の著作権法で、ここまでで説明した2つの状態しか規定していない。つまり、all right reserved状態と、no right reserved状態である。全ての権利を著作権者が持っているか、そうでなければ誰も持っていないか、なのだ。そして、誰かが権利を持っていたら、どんな使い道であれ、どんな使い方であれ、その作品を使うためには、著作権者と交渉して許可を得なくてはいけない(例外規定については話がややこしくなるのでここでは省略)。商業利用ではないからとか、お金の問題と無縁だから良いじゃないか、とはいかない。なぜなら、all right reservedだからである。この「全ての権利を持っているall right reserved」と「全ての権利を持っていないno right reserved」のふたつの状態しかないのは不合理だろうと考えられたのが、前回、ホワイトハウスの話題で取り上げた「クリエイティブ・コモンズ」である。

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【写真・文/藤吉とーきち】

(スチルカメラマン/科学技術リポーター/MAJESTy)

 

【連載:情報流通をめぐる旅】
第1回: オバマ就任式の日に変わったホワイトハウスのウェブサイト
第2回: All right reservedってどんな意味?
第3回: クリエイティブ・コモンズの基本的思想は共有

<以下、順次掲載>

合わせて読みたい

  1. 情報流通を巡る旅(1):オバマ就任式の日に変わったホワイトハウスのウェブサイト
  2. 連載:情報流通をめぐる旅「すべてはインターネット、なのか?」