2009年7月31日
筑紫哲也氏追悼シンポジウム(7): ジャーナリズムとスポンサー―会場からの質問に対して
シンポジウムの終盤には、事前に会場から寄せられた質問に関して議論が行われた。取り上げられた質問は、「スポンサーを気にせずに番組は作れないのか」だった。 サンデー・プロジェクトとスポンサー 田原 これはむしろ…
2009年7月31日
シンポジウムの終盤には、事前に会場から寄せられた質問に関して議論が行われた。取り上げられた質問は、「スポンサーを気にせずに番組は作れないのか」だった。 サンデー・プロジェクトとスポンサー 田原 これはむしろ…
シンポジウムの終盤には、事前に会場から寄せられた質問に関して議論が行われた。取り上げられた質問は、「スポンサーを気にせずに番組は作れないのか」だった。
田原 これはむしろ僕に対する質問ですが、「スポンサーを気にせずに番組は作れないのか?」というのが会場からの質問です。
答えとしては、「もちろん作れます」ということになります。
例えば私の『サンデー・プロジェクト』で言うならば、『サンデー・プロジェクト』には東京電力がスポンサーについています。
で、私は東京電力に「サンプロでは、必要になったら原発問題をやりますよ」と交渉しました。すると、東京電力が「原発をやる回だけ、我々はスポンサーを降ります」と言うことで手打ちになりました。そういうことはできると思います。
田原 田勢さん。田勢さんは勿論、新聞で違うけれども、日経新聞は企業の悪口が書けない、批判ができない訳じゃないですよね?
田勢 イエスと言いたい所ですけどね。中々難しい所もあると思いますよ。
ちょっと話がずれるのですが、もっと重要なこととして、日銀が2、3日前に「この先、2年間、成長はマイナスだ」と、「史上最悪だ」と言いましたよね。あれ、みんな一面トップで報道したんですよね?
それなのに、白川総裁が「不確定要素が多すぎる」、「この先どうなるかわからないような予測をこんな時に出すな」と言うと、みんな縮こまっちゃうわけですよね。そういうことを指摘しているメディアがどこもないっていうのが…。
田原 ないね。
田勢 本当にびっくりしましたね。日本銀行ってみんな偉いと思っているんですね。
田原 そういうことを日経新聞の担当者に言いました?
田勢 いや、私は自分で書こうと思っているんですけど、多分ボツになるんですね…。
田原 あ、自分で書くんだ。でも、ボツ?
田勢 ええ…。
=next=
田原 この点について、野村さんどうですか?
野村 朝日新聞に関して言えば、比較的自由に批判もしていると思いますね。スポンサーというか、広告については気にしつつも、編集局と広告局とは別になっていますから。
編集局の人間が広告のことを考えながら原稿を書くということは殆どないです。それは今も変わりないです。
田原 金平さんに具体的に聞きたいんですが、筑紫さんの『ニュース23』の時にスポンサーと揉めた、あるいはスポンサーが降りた、なんてことはありましたか?
金平 私が知っている限りでは…ありましたね。
田原 そういうトラブルがあった時は、編集と金平さんたちはどういう話し合いをするんですか?
金平 事実誤認があったかどうかということを自分たちで検討しまています。
スポンサーとの関係で言うと、今思うと筑紫さんはそういうことには敏感だったんですよね。それで、一度こんな企画をやったことがあります。
新聞の紙面で、スポンサーが持ち寄った広告みたいな紙面があるんです。
田原 ありますね。
金平 一般の人が読むと、これは広告なのか記事なのかわからないんですよね。それで、「これはどうなんだ?」と問題にしました。
「言論の機関である新聞の紙面としては、一般の読者が見たら、これはわからないじゃないか」と。そういうことを番組内で問題にしました。
あれは何年頃かな?1995、6年だと思いますが、それを大々的にやったことがありましたね。筑紫さんは、そういうセンスをかなり敏感に持ち合わせていました。
田原 それをやっても、TBSの営業とか業務からはクレームは来なかった?
金平 ええ、来なかったですね。
田原 なかなか立派な局ですね。
金平 きっとどこかに防波堤があったんだと思いますし、要するに、さっき言ったような「(報道する者としての矜持、といった)ある種の姿勢」を明確にしていると、それに対してまた反撃をすることに対しては、先方も身構えるんですよ。僕はそういうものだと思います。