2009年10月5日
取材・執筆:千葉 涼
ノンカロリーで健康的?人工甘味料に潜む甘い罠
よく見かけるようになった「ノンカロリー飲料」。美味しくて太る心配もない、となれば素晴らしいことだろう。しかし、そんな「甘い」話がそう簡単にあるだろうか?
2009年10月5日
取材・執筆:千葉 涼
よく見かけるようになった「ノンカロリー飲料」。美味しくて太る心配もない、となれば素晴らしいことだろう。しかし、そんな「甘い」話がそう簡単にあるだろうか?
コカ・コーラ セントラル ジャパンが発表した決算短信によると、平成21年上半期のコカ・コーラゼロの販売数は、昨年の同時期より58%も増えている[i]。同社商品の販売数が全体に減少している中で、この増え方は群を抜いていると言っていいだろう。
こうしたコカ・コーラゼロの人気を反映してか、今年の夏はノンカロリーの炭酸飲料が続々と発売された。中でも三ツ矢サイダーオールゼロやC.C.レモンゼロのように、従来の商品ブランドを生かして、ノンカロリーの別バージョンとして売り出されるケースが目立っていた。
炭酸飲料はだいたい100mlあたり40kcal前後ある。しかしこれがゼロになるのだとしたら、気兼ねなく炭酸飲料を楽しめるようになるのだ。味の違いに不平を漏らしながら「ゼロなんてコーラじゃない!」と主張するコーラ保守派もいるが、それよりも健康を意識する人が増えているのだろう。
だが、ここで立ち止まって考えなければならない。果たして、ノンカロリー飲料を飲めばいいというような、そんな簡単な話として片付けていいのだろうか?ダイエットと金儲けは楽には達成できないということを、私たちは繰り返し学んできたはずだ。
ノンカロリー飲料は、砂糖の代わりに人工甘味料で甘みを出している。しかしパデュー大学の研究者たちは、ラットを使った実験で「ノンカロリーの甘味料が、体が覚えている甘さとカロリーの関係を壊してしまう」という結論を導き出した[ii]。
通常、甘いものを摂取した体は「これは高カロリーだ」という認識をし、それに従って代謝を高めたりといった反応を起こす。しかしノンカロリーの甘味料を摂取することで、「甘いものは高カロリーだ」という体の認識がなされなくなり、結果として甘いもの全般への抵抗感が希薄になったり、体の代謝能力が低下したりしてしまう、というのである。
実験はラットを用いたものだが、人間においても「ノンカロリー飲料の普及に伴って、砂糖入り飲料の消費量も増えている」[ii]し、「日常的にノンカロリーの炭酸飲料を飲む人は肥満傾向にある」[iii]というデータもある。
つまるところ、現在の人工甘味料を「摂っても太らない魔法の調味料」として扱うのは、まだ時期尚早であるようだ。
たまに「ノンカロリーだから大丈夫」と言って水のようにガブガブ飲んでいる人がいるが、そういう認識ではいけないのである。それ自体にカロリーがないからと油断していると、逆に太りやすくなっているなんてことも起こりうる。結局のところ、人工甘味料も砂糖と同じように、自己管理のもとで摂取することが求められているのだ。
参考資料
[i] コカ・コーラ セントラル ジャパン 平成21年12月期 第2四半期決算短信
[ii] “Artificial Sweetener May Disrupt Body’s Ability To Count Calories, According To New Study”
[iii] ALICE PARK “Can Sugar Substitutes Make You Fat?”