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教員コラム:韓国の「朝中東」(李鎔哲准教授)

韓国のメジャー新聞社「朝中東」、私がこれを購読する理由。

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 韓国の三大メジャー新聞「朝中東」

 最近、韓国のあるメジャー新聞社の日刊紙を定期購読するようになった。15年近く東京で生活しながら、韓国新聞はいつもインターネットで見ていた。ところで、韓国の出身高校(冬ソナのロケ地として日本でも有名になった春川高校!)の親しい後輩がその新聞社の東京支局長に赴任し、先輩としてしてあげられることがないかと苦心した末、新聞を購読してあげることにしたのである。いわば、義理チョコでなく、義理購読であるわけだ。

 韓国で三大メジャー新聞というと、朝鮮日報、中央日報、東亜日報である。昨年に行われた韓国言論財団の調査によると、これらは総合日刊紙の購読市場の約60%(朝鮮が26%、中央が20%、東亜が14%)を占有しており、それだけ、韓国の政治や社会世論の形成に大きな影響を及ぼしている。韓国ではこれらの三大メジャー新聞を総称し、その頭文字を並べ「朝中東」という。

オンライン新聞との相克

 ところで、この「朝中東」という表現には、この3つの持つ問題点に対する批判(あるいは非難)の意味が含まれている。この単語が生まれ、通用されるようになったのは2000年以降である。この時期に韓国では「オーマイニュース」や「プレシアン」など、いくつかのインターネット新聞が創刊された。

 これらのオンライン新聞は、制作への市民の参加、進歩的観点による記事の設定と分析、双方向的なコミュニケーションの場の提供などにより、当時20-40代の若い世代から爆発的な支持を得た。彼らが自らと既存のメージャー新聞とを差別化するために作り出した言葉が「朝中東」である。以降、この単語には冷戦的な理念攻勢、保守的立場、政治権力との癒着などのイメージが付きまとうことになる。当然ながら当事者であるメジャー新聞はこの単語に不快感を示し、その表現を使うことを忌避している。

 

 確かに新しいインターネット新聞をクリックしてみると、編集や議題の設定が新鮮で、分析の観点も多様である。討論の場では様々な市民の意見を伺い知ることもできる。

 

 しかしながら、既存のメジャー新聞を単に冷戦の保守勢力として規定することには無理がある。確かに北朝鮮や労働問題に対する記事の編集や分析において保守的な立場は見られるが、他に様々な分野において豊富な情報や専門的な知識を提供してくれる。

 そして、何よりパソコンを開かなくてどこでも読むことができるという親近性がある。義理から始まったとはいえ、当分の間「朝中東」の購読を続けるつもりでいることには、それだけの理由があるのである。

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