子どもの居場所を作りたい~市役所からの挑戦~

  東京都清瀬市に、「ころぽっくる」という児童センターがある。ここで、小学生を対象にしたJLC(ジュニアリーダーズクラブ)を指導している三浦修佑さん(27)は、「子ども達の笑顔を見られた時が一番幸せ」…

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  東京都清瀬市に、「ころぽっくる」という児童センターがある。ここで、小学生を対象にしたJLC(ジュニアリーダーズクラブ)を指導している三浦修佑さん(27)は、「子ども達の笑顔を見られた時が一番幸せ」と語る。

  JLCでは月2回の活動に、毎回18人前後の子どもたちが集まる。3分間で自分を表現する「3分間スピーチ」や、農業体験など活動内容は様々だ。狙いは、将来のリーダーとなる人の育成。大学教授や学生に撮影技術や取材マナーを教えてもらい、町の人達にインタビューして新聞記事を書いたり、「清瀬子ども放送局」というレポート番組を制作したりもしている。

  今では子どもたちの笑顔が絶えないが、三浦さんが3年前にここに来た時は、参加者がほぼゼロの日もあった。来た子も親に言われて嫌々といった感じだった。「だから、子どもの目が輝いていなかった。笑顔があふれる、本当の子どもの居場所を作りたかったんです」。「3分間スピーチ」や「清瀬子ども放送局」を始めたのも、そんな思いからだ。

  今の仕事を選んだきっかけは、小学生の時いじめにあっていたこと。両親は離婚し、三浦さんを引き取った父親はその後自殺、母親と暮らすようになった。「当時は、自分の居場所がないように感じていた。子どもながらに一人で生きていくしかないと思っていた」。だが、中学時代の恩師の「お前は教育者になれ」という一言で変わる。「先生は真剣に話を聞いてくれた。だんだん、自分も子どもと関わる仕事をしたいと思うようになりました」

  大学は教育学部へ進み、様々な形で教育現場に携わった。児童保育クラブ、中学校の生徒相談員や帰国子女学習補助員、高校サッカーの指導やネットカウンセラーなどだ。障害児の支援にかかわった時、専門的に指導、サポート出来る人を迎えたいと市役所に依頼したが、受け入れられなかったことがあった。この時の経験などが、彼を教師ではなく市職員へと突き動かした。「現場でおかしいと思う点が変えられない。単純に、現場の意見が役所になぜ届かないのか知りたくなったんです」

  疲れている時、子ども達に会うと「目が笑ってないよ」「疲れてない?」と言われる事がある。「子ども達のために、と思っても、僕の方が子どもに気付かされることも多い。やりがいのある仕事だから、やめられません」。そう話すと、少し恥ずかしそうに笑った。

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※この記事は、2011年度J-School春学期授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(林美子講師)において作成しました。