2010年8月20日
取材・執筆・撮影:柳澤花七絵
学生だけで運営する「くつろぎと刺激のカフェ」
早稲田大学早稲田キャンパスの裏手に、学生が企画・設計・運営の全てを手掛けるカフェがある。「くつろぎと刺激のセカンドハウス」をコンセプトとする「02cafe」(ニカフェ)は、だれにとっても心地よい居場所であり、同時に、早稲田のカルチャー発信地だ。
2010年8月20日
取材・執筆・撮影:柳澤花七絵
早稲田大学早稲田キャンパスの裏手に、学生が企画・設計・運営の全てを手掛けるカフェがある。「くつろぎと刺激のセカンドハウス」をコンセプトとする「02cafe」(ニカフェ)は、だれにとっても心地よい居場所であり、同時に、早稲田のカルチャー発信地だ。
02cafeは、スタッフのほとんどが早稲田の学生だ。代表の商学部3年、真銅弘子さん(20)も、新入生のとき、真っ白な箱のような外観の02cafeが気になり、勇気を出して中に入ったという。「早稲田のキャンパス内って、意外と落ち着ける場所がない。02cafeは、そんな学生たちのすべてを受け止めてくれる場所なんです」と話す。
店内は、木製のテーブルが7つに、靴を脱いで上がれる小さな座敷のようなスペースが1つ。15人ほどが入るといっぱいになる。
6月上旬に訪れると、ギャラリーでもある大きな白い壁に、カラフルな写真が飾られていた。学生が撮った、中国の日常風景の写真展だ。中国らしい小物も店内にセンスよく配置されている。翌週のギャラリーでは、早稲田大学のボランティア団体「WAVOC」との共同企画で、ボランティア活動の様子を紹介するという。
訪れる人もさまざまだ。手作りパフェを楽しむ学生カップル。出来たてのサンドイッチをつまみおしゃべりする女の子。スタッフとの仲の良さを部下に自慢する上司。オーストラリア人の男子留学生は、毎日、同じ席に座っている。「店の雰囲気も人もよくて、つい長くいてしまう。勉強したりスタッフと話したり、好きなようにすごしています」
スタッフ25人は、ボランティアで店に立つ。フード・ドリンク担当は食品衛生責任者の資格を持ち、会計担当は会計士を目指しているなど、多士済々だ。真銅さんは、「みんなこの場所が好きで頑張っている」と話す。店からの利益は、インテリアを買ったり食器をそろえたり、新しい企画を実行したりするのに使う。
「やりたいという気持ちがダイレクトに形になる、それが私たちにとっての利益」。一般の飲食店では実現が難しいことも、アイデア次第ですぐに実現可能なのが02cafeの魅力の一つだ。
その機会は、スタッフだけでなく多くの人に開かれている。レジ横にはたくさんのリーフレットやチラシが並ぶ。早稲田の飲食店を紹介する「ワセメシ」マップ、個展のお知らせやクラブイベントの案内、インディーズCDのチラシなど、若者カルチャーの縮図のよう。学生や商店街に頼まれるだけでなく、お客が置いて行くこともある。
ギャラリーとして無料で貸し出している白い壁は、誰でも自由に借りて、簡単な個展を開くことが出来る。お金のない若手アーティストの作品でも、多くの学生の目に触れるのだ。
毎週水曜日のフリーマーケットは新たな試みだ。テーブル単位でスペースを貸し出す。スタッフが常にいるので、出品者は自分の作った作品などを置いておくだけで売ることができる。金曜日の夜は、「02cafeフライデーナイト」という名のバータイム。出演料なしで募集したバンド演奏者やビジュアルジョッキーが登場する。
内外装はナチュラルな白色で統一してある。「この白い箱をアナタ色に染めてみませんか」という意味が込められている。学生の夢がつまった白い箱は、日々色を変え続ける。
※この記事は、10年度J-School授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(林美子講師)において作成しました。