健康のキーワードはずばりマイナスイオン!? ~リテラシー欠如の罠~

「マイナスイオンは存在しない」と言ったらいったいどのぐらいの人が驚くだろうか。試しに授業中にクラスで話してみたが、あまり驚いた人はいなかった。「いかがわしい」という認識を普通の人はもっているのだと思う。ところが、実際にド…

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「マイナスイオンは存在しない」と言ったらいったいどのぐらいの人が驚くだろうか。試しに授業中にクラスで話してみたが、あまり驚いた人はいなかった。「いかがわしい」という認識を普通の人はもっているのだと思う。ところが、実際にドライヤーなどのいわゆる「マイナスイオン」商品を手にしている人は意外と多い。どうして人々はマイナスイオン製品を買ってしまうのだろうか。

マイナスイオンとメディアリテラシー

  ことの始まりは2002年に放送された「発掘!あるある大辞典」で「マイナスイオン」の特集番組が放送されたことだったように思う。番組では「マイナスイオン」の効能がうたわれ、ブームに一気に火がついた。大手家電各社はいっせいに製品開発に乗り出し、様々なマイナスイオン商品が市場に出回った。しかし、問題は「マイナスイオン」が科学的に定義されたものではなく、効果そのものも実証されていないということだった。


 今でこそ捏造問題で番組打ち切りになった「発掘!あるある大辞典」をあやしいと思う人は多いと思う。しかし、当時はそうではなかった。番組では都会で問題となっている大気汚染、電磁波の増加の原因をプラスイオンとした。そして反対に川や森に存在するという「マイナスイオン」を紹介し、体によいということを強調した。それを”科学”だと信じた視聴者は、なんとなく効く気がするマイナスイオン製品を購入するに至った。

 では、どうすればこうした現象を防ぐことができたのだろうか。私は「メディアリテラシー」がすべての鍵を握っていると考える。
   普通、こうした問題の根本的な解決を図るには、消費者が科学の知識をもつことが重要だとされている。しかし、中学や高校教育の段階から教育改革を行うことは現実的ではない。そこまでしなくても、こうしたニセ科学を伝える媒体であるメディアに対するリテラシーを身につけ、すべての情報が信頼できるものではないことを知っておくことで十分自らを守ることができる。


 「発掘!あるある大辞典」事件をきっかけにメディアリテラシーを広めるため、映像の制作過程を検証する番組なども放送されるようになってきた。こうした番組を利用して賢い視聴者になることで、賢い消費者になろうではないか。

 

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※この記事は、08年後期のMAJESTy授業「科学コミュニケーション実習2」において、青山聖子先生の指導のもとに作成しました。