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カフェで繋がるエコとピース

「ただそれだけでいいよ、ただそれだけでいいよ」。7月7日の夜、東京・三軒茶屋の小さな空間に、温かい歌声が流れた。電灯は消され、キャンドルの揺らめく光だけが、あたりをほんのりと照らす。ここ「OHANAカフェ」では、エコとピースをテーマにいくつものイベントが開かれ、お客の心をひきつけている。

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  OHANAカフェは2007年に開店した。店長の藤田康祐樹さん(44)は、フェアトレード商品を扱っている「地球雑貨店ふろむあーす」という店を経営しており、「フェアトレードとかエコロジーとか、より多くの人に伝えたくて、カフェを始めたんです」と語る。

  7日夜のキャンドルナイトは、エコやピースをテーマにする「魔法の旅」というイベントの一環だ。歌ったのは、静岡県富士宮市からきた2人組の音楽ユニット「つむぎ」。席が足りず、床に座っているお客もいる。喧噪から離れて、イベントの趣旨の通り、「電気を消して、スローな夜を」過ごしたいのだろう。

  4日から18日までの「魔法の旅」は、キャンドルナイトのほかに3回のライブが予定され、店内には金子美保さん(29)と崔晶美(ちぇぢょんみ)さんの絵が展示してある。

  洋服デザイナーでもある金子さんは、今回のイベントを企画した本人だ。絵を描いて仲間を作るのが大好きで、「韓国巡礼WALK9」という、韓国で木を植えながら旅をするイベントで絵が好きな崔さんと出会い、一緒にグループ展をすることになった。沖縄の海辺に植えられた木、海の中でキャンドルを捧げる女性など、「緑」や「命」が絵の中に満ちている。「すべての命に感謝し絵を描きます」と金子さん。

  店内に飾られた小さな流木の下には、金子さんによる「翠(みどり)のひかり」というコーナーがあり、間伐材で作ったかんざしなどが販売されている。「この木が、森の中にあって生きていたということが、流木の下に置くことですごく実感できますよね」

  店では料理も、地球に優しい食材を使い、安心な食べ物を提供するためにいろいろな工夫をしている。7日の「日替わりプレート」は、車麸と大根の竜田揚げ、おかひじきとインゲンの実のそば和えなど。肉、魚や卵、乳製品を避け、化学調味料、保存料、着色料を一切使わない。オーガニック、フェアトレードの食材にこだわっている。お客と一緒に、野菜や米を生産している農家へ手伝いに行く計画もあるそうだ。

  店内のテーブル席は、全部4~8人が座れるようになっている。知らない人と一緒に座り、音楽と絵を楽しみながら、話し合い、地球について、命について、いろいろなことを学んでいく。店長の藤田さんは「出会いの空間をつくりたい」と語る。

  「金銭的にぎりぎりの状態でやっているので、やりくりが大変ですけど、日々みんな楽しくやれていて、ありがたい」とも藤田さんは話す。「自分がやっていることがより多くの人に伝わり、動かし、石油のない世界『トランジションタウン』への『シフトチェンジ』(転換)につながることを願っています」

  

※この記事は、10年度J-Schoolの授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(林美子講師)において作成しました。

 

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