柳澤花~1

青梅市に中高年が輝く社交場づくり

1レッスン90分、500円。東京都青梅市で、柳澤弘子さん(48)が主催するダンスサークル「ソシアル」には、50代から80代の約40名が参加する。生徒が自分たちで会場を確保して柳澤さんを招き、柳澤さんは週2回、片道2時間かけて通い続ける。目指すのは、「気軽に行けて輝ける、活気あふれる社交場」だ。

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「踊る楽しさ」伝えたい

  青梅市で子育てをしていた1990年、たまたま入った地域のダンスサークルが、子供と自分だけの閉ざされた世界を変えた。母ではない自分、ダンスによって輝く自分を見つけた。

  最初は、大会で成績をあげることが喜びだった。日本ボールルームダンス連盟主催の競技会では、ラテン部門2位、モダン部門3位にもなった。競技生活に限界を感じた頃、勤め先の地元のダンス教室で、「踊る楽しさ」を伝えることにやりがいを感じるようになった。

  東京郊外の青梅市は、お年寄りの多い街だ。「若い人は何でも自分で見つけられるけど、お年寄りはすることがなくなってしまう人も多い。友達に会い、踊ることで気持ちが豊かになるような場所をつくりたい」

 

生徒と作るダンスサークル

  人生の先輩であるお年寄りを指導するにあたり、失礼の無いよう注意する。腰やひざが痛い人でも負担をかけず、逆に痛みが軽くなるように動けるよう、整体の勉強もしている。難しいこともあるが、皆が笑顔で踊っている姿を見ると、楽しいひとときを作り出せたという達成感、教師としての喜びを感じる。

  2004年、東京の都心に近い豊洲に引っ越した。青梅のダンス教室は辞めたが、生徒たちにとって柳澤さんの笑顔はかかせないものになっていた。「先生の笑顔をみていると元気がでる」と言って、体調が悪くて踊れなくても、レッスンを見るためだけに来る生徒もいたほどだ。生徒たちは公共会館に会場を確保し、再び柳澤さんを招いた。

  サークルでは簡単なステップから学び、すぐにダンスを楽しめるようになる。生徒の要望に応じてメレンゲやサルサを取り入れ、美しい音楽を聴きながらのストレッチクラスも開催する。「学ぶ」に重きを置くダンス教室に対し、「楽しむ」に主眼を置いた工夫だ。

 

競技も再開  「諦めたくない」

  柳澤さんは最近、競技への参加を再開した。「ソシアル」で教えていて、「人に楽しさを与えるには、自分が楽しいだけじゃダメ。技術を磨き、美しく踊り続けて、年をとっても向上できるという希望を与えて初めて、皆さんに楽しんでいただける」と思ったのだ。

  今は、大会に向けて毎朝、パートナーとの練習を欠かさない。午後には昨年始めたアルゼンチンタンゴの教室に通い、帰宅後は家族のために食事を作り、家事全般をこなす。

  「先生として、生徒として、母としてあり続けるには努力が必要。それでも全ての幸せを知ったからには一つも諦めたくない。諦めなければ、夢はかないます」

                                                                                                {#j-school_logo}

※この記事は、10年度J-School授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(林美子講師)において作成しました。

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