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恋愛は科学で説明できないか?

―新"科学万能主義"―

 ”恋は3年が限界”という説がある。人が緊張したり、不安を感じているときに放出されるホルモンが恋愛のドキドキの正体で、これは2~3年経つと減少していくという。友人たちとこんな会話をしていたのだが、ひとりが科学でなんでも説明できるわけではないと言い始めた。そのとき、私はふと考えた。”科学で説明できない”とはどういうことだろう。そもそも科学で説明できないことなどあるのだろうかと。

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  3年限界説に反対した彼は、「恋が3年以上冷めないことだってある。科学でなんでも説明できるわけじゃない」とそのとき言った。科学では説明できない恋愛の力を信じているのだろう。確かに恋愛の賞味期限が3年とはなんともさびしいし、彼の言うことの方がロマンチックで、個人的にはそうあってほしい。だが、私は彼の言葉に妙にひっかかってしまった。
 科学で解明できていない問題は確かにたくさんある。
 心霊現象や死後の世界の話など、科学的に肯定も否定もされていない。そうであるなら、科学で説明できないこともあるように思える。しかし、それはあくまで“現段階”での科学の話ではないか。今の科学で説明がつかないものがあるとすれば、それはまだ説明できるだけのレベルに科学が達していないからだ。

 では、科学とは何だろうか。同じ条件のもとで誰が、何度繰り返し行っても変わらない結果が得られるなら、それは科学と言えるだろう。この科学の定義を満たす可能性があるなら、どんなものでも“科学”と呼べるかもしれないグレーゾーンに位置するはずだ。
 かつてはSFの世界の話だと思われていたタイムマシンはアインシュタインの相対性理論の登場により、科学でその実現可能性が語られるようになった。いかにもオカルト的で、科学では説明できないように見える心霊現象や死後の世界の話なども、科学が発展していけば、今後解明できるかもしれない。
 冒頭で取り上げた“恋愛ホルモン”だが、カップルのスキンシップや距離感などをうまく加減すれば出続けることもあるそうだ。いつまでも恋人気分を忘れない夫婦にはホルモンという秘訣があるのかもしれない。冒頭の友人の信じる恋愛の力も科学と矛盾はしていなかったのだ。科学で恋愛を語るなんて興ざめなどと思わず、長続きの秘訣を科学から学ぶ―そんなふうに物事を見てみると、違った科学の面白さが感じられるかもしれない。

(了)

 

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Photo: Brian Bolous (著作権記述)

 

※この記事は、08年後期のMAJESTy授業「科学コミュニケーション実習2」において、青山聖子先生の指導のもとに作成しました。