「日本の足元に革命を」/靴磨き専門店を南青山にオープンさせた長谷川裕也さん

 東京・南青山の骨董通に面したビルの一室で昨年6月、靴磨きの専門店「ブリフトアッシュ」=写真=が営業を始めた。  約25平方㍍の細長い店内はカウンターバーのような雰囲気。修理を待つ靴、水洗いされ乾燥中の靴・・・。棚に入り…

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 「日本の足元に革命を」/靴磨き専門店を南青山にオープンさせた長谷川裕也さん
Share on Facebook
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip

 東京・南青山の骨董通に面したビルの一室で昨年6月、靴磨きの専門店「ブリフトアッシュ」=写真=が営業を始めた。

 約25平方㍍の細長い店内はカウンターバーのような雰囲気。修理を待つ靴、水洗いされ乾燥中の靴・・・。棚に入りきらない30足ほどが床を埋めていた。


 経営しているのは長谷川裕也さん(24)。落ち着いた照明、ジャズの響き、壁際の観葉植物、アンティーク調の家具。「賭けのつもりでやってみました」という店内は、おしゃれな街・南青山を意識したつくりだ。


 長谷川さんが靴磨きを始めたのは4年前。人材派遣会社に登録したが、仕事が入らず、「元手がかからない商売を」と思いついた。道具を100円ショップで買いそろえ、東京駅前の路上に出た。師匠はいない。同業者らの仕事を盗み見るようにしては、技を覚えた。


 公道での営業行為はそもそも違法だ。警察官に立ち退くよう命令されたり、暴力団員風の男に場所代を要求されたりしたこともある。東京駅前で1年、品川駅前で3年を過ごし、自分の店を持つ決意をした。


 靴磨きの仕事は人との出会いが魅力という。会話に興じていると、「人生相談」につい、のめりこんでしまう。「(靴を磨いている)10分間は友人でも取引先でも何でもない関係。だからこそ、面白い」。職場の愚痴や浮気の告白も聞かされた。


 店内の3分の1を占める木のカウンターは、客とのコミュニケーションを大切にしたいという思いの現れでもある。客と同じ目線に立ち、話しかけながら磨き上げる。「長谷川さんは人を見て磨く。ほかの人(靴磨き)とは違う」。ある男性客の称賛がうれしかった。


 「電車に乗っても、いい靴を履いている人をなかなか見かけない。そんな日本の足元に『革命』を起こそうと思っています」。夢を膨らませている。



j-logo-small.gif


 ■外部リンク:ブリフトアッシュ


※この記事は、08年後期のJ-School講義「ニューズルームH」において、安永拓史先生の指導のもとに作成しました。

合わせて読みたい

  1. デジタル写真時代の〝銭湯〟―国籍や人種を超える大暗室の魅力
  2. 町の片隅の小さなケーキ屋さん 千葉県柏市
  3. 第81回センバツ出場・日本文理(新潟)切手孝太選手インタビュー