早稲田のランチラッシュ全体_ページ_1

ワセダのランチラッシュ 解明するフリーペーパー

教室に早めに入ると必ずと言っていいほど、学生たちが食事をしている。2限と3限の間の昼休み、コンビニには長蛇の列が、学食の食券売場の前も行列ができている。私が「ワセダのランチラッシュ」と名付けた光景である。大教室のうしろで、カップラーメンをすする学生がいたのには愕然とした。学生たちはどうして落ち着いてランチタイムを過ごせないのだろうか。いつも疑問に思っていた。

私が担当する「雑誌編集入門B」(政治学研究科ジャーナリズムコース)では、院生による自主的なフリーペーパーの制作に取り組んでいる。2018年度は、「早稲田の食」をテーマに、「ランチラッシュ」の実態とその原因、解消の方策を取り上げた。

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教室に早めに入ると必ずと言っていいほど、学生たちが食事をしている。2限と3限の間の昼休み、コンビニには長蛇の列が、学食の食券売場の前も行列ができている。私が「ワセダのランチラッシュ」と名付けた光景である。大教室のうしろで、カップラーメンをすする学生がいたのには愕然とした。学生たちはどうして落ち着いてランチタイムを過ごせないのだろうか。いつも疑問に思っていた。

私が担当する「雑誌編集入門B」(政治学研究科ジャーナリズムコース)では、院生による自主的なフリーペーパーの制作に取り組んでいる。2018年度は、「早稲田の食」をテーマに、「ランチラッシュ」の実態とその原因、解消の方策を取り上げた。

取材に取りかかる前に学生へのアンケートを実施した。私が担当する「フリーペーパー講座1」の履修生300名に了解を得た上で、ランチタイムをどう過ごしているかをいくつかの項目にわたって質問した。その回答結果からわかったのは、多くの学生が学内のコンビニを利用し、教室で食べていることだった。生協の学食の利用は予想を下回った。その理由は、2限と3限の間の50分というランチタイムが短すぎること、学部によっては学食への距離があり、行きにくいことだった。

ランチラッシュの背景には、校舎の高層化と高い出席率がある。エスカレーターで1階に下りるまで時間がかかるようになった。学ぶ環境は格段に改善され、出席率の上昇も好ましい話ではあるが、ランチにしわ寄せが及んでいるようだ。私が通っていた40年前とは大変な変わりようである。

生協もコンビニも、学生が集中する時間帯を効率的にさばく工夫を凝らしている。空いている時間帯に来てもらおうと、さまざまな企画を立ててもいる。大学周辺の飲食店を抱える商店街は、大学側に昼休みの延長を切望しているという。学外に出てランチをゆっくり楽しみ歓談すること。これこそ、早稲田という学生街の伝統文化の核なのかもしれない。

                                (ジャーナリズムコース「雑誌編集入門B」講師 稲垣 太郎)

【追記】

訂正(2019年8月25日) 10ページ3項目めの見出し「洋食店からイタリアンへ」を「洋食店からピッツェリアへ」に、冒頭の本文「早大南門前に居を構えるイタリア料理店『高田牧舎』」を「早大南門前に居を構えるピッツェリア『高田牧舎』」にそれぞれ訂正します。

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