ランチアワーに人をつなぐ

ランチアワーに人をつなぐ

 午前の授業が終わると、弁当を持って大隈庭園に向かう早稲田の留学生が目につく。自分の都合さえつけば、ランチを食べながら初めて会った人と交流できる。そうした気軽さが魅力の「早稲田ランチオーガニゼーション(WLO)」。運営しているのは政治経済学部5年の佐藤航平さん(23)だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - ランチアワーに人をつなぐ
Share on Facebook
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip

 留学生団体があふれる中、WLOは特に「かたくならず、身構えず、カジュアルさ」を重視する。芝生にあぐらをかいて座りながらのランチ会は週に2回行い、クリスマスのときなど特設のパーティも設けた。SNSから発信して参加を呼びかけ、自由参加を徹底することで、発足後の一時期、中国や韓国、トルコ、インドネシアなどからの留学生が300人以上集まったことがあるという。

 佐藤さんとWLOの接点は国際交流だ。通っていた高校の代表として2年生のとき、訪中し、「日本以外の視点が手に入る」と外国人への好奇心に火がついた。外国の文化に接したいと考え、大学は留学生の多い早稲田へ。リュックサックひとつでカナダやヨーロッパに出かけたり、中国では列車に乗り込んで出稼ぎ労働者たちと話したりもした。「現地の人の生きる姿から国境なしに動くことの大事さを学んだ」と語る。帰国後、早稲田でのサークル活動は参加を縛られ、国境を越えて気軽に交流できる場がないと感じ、WLO2代目の代表になった。

 しかし、初代代表の引退後は参加者が減り、よく似た活動もキャンパスに現れるなど窮地に向かう。「人材不足が深刻で、このまま行くとWLOは終わる」と危機感を募らせる。活動の場所を室外にしたり、運営者を増やしたり、フェイスブックを活用し多言語で発信したりするなど、団体そのものの楽しさを再び際立たせようと努力している。

 佐藤さんは「声を伝えること、ものを生み出すこと」に、やりがいを感じるという。「グローバルに活躍したいと思う人はたくさんいるが、ただ外国に行くだけでは難しい。希望を掲げて国境なしに行動するのが大切です。高いところを目指してチャレンジしたい」

{#j-school_logo}

※この記事は、13年度J-Schoolの授業「ニューズルームD(朝日新聞提携講座)」(矢崎雅俊講師)において作成しました。

合わせて読みたい

  1. お金を使わずに楽しく生きる、高円寺・素人の乱
  2. 「自立」して生きる ~遺品整理の現場から〜
  3. カエルに恋して
  4. 守り続ける「本物の角帽」
  5. 早稲田に田んぼ「わせでん」を復活