科学技術 Archive

  •  "恋は3年が限界"という説がある。人が緊張したり、不安を感じているときに放出されるホルモンが恋愛のドキドキの正体で、これは2~3年経つと減少していくという。友人たちとこんな会話をしていたのだが、ひとりが科学でなんでも説明できるわけではないと言い始めた。そのとき、私はふと考えた。"科学で説明できない"とはどういうことだろう。そもそも科学で説明できないことなどあるのだろうかと。

    恋愛は科学で説明できないか?
    ―新"科学万能主義"―

     "恋は3年が限界"という説がある。人が緊張したり、不安を感じているときに放出されるホルモンが恋愛のドキドキの正体で、これは2~3年経つと減少していくという。友人たちとこんな会話をしていたのだが、ひとりが科学でなんでも説明できるわけではないと言い始めた。そのとき、私はふと考えた。"科学で説明できない"とはどういうことだろう。そもそも科学で説明できないことなどあるのだろうかと。

    続きを読む...

  • 「バイオリズム」をうたった占いや、雑誌の記事を読んだことのある人は多いだろう。少し疑似科学的なその言葉とは別に、生物は、誰に教えられることなく各々に特有の形を作り、そして固有のリズムを持って生きている。その生物が持つ固有のリズム=概日性を、構成的手法を用いて研究する一方、生命の奥行きを芸術により表現する。そんなユニークな研究者の思索の森を、ほんの少しだけ垣間見る機会を得た。

    生物学とアート、そして生命 ~研究者の心の旅

    「バイオリズム」をうたった占いや、雑誌の記事を読んだことのある人は多いだろう。少し疑似科学的なその言葉とは別に、生物は、誰に教えられることなく各々に特有の形を作り、そして固有のリズムを持って生きている。その生物が持つ固有のリズム=概日性を、構成的手法を用いて研究する一方、生命の奥行きを芸術により表現する。そんなユニークな研究者の思索の森を、ほんの少しだけ垣間見る機会を得た。

    続きを読む...

  •  2005年愛知万博の三井・東芝館で上映されたフルCG映画『グランオデッセイ』は、エンターテイメントの新しい形として多くの人々の間で好評を博した。この映画を支えた技術、「フューチャーキャストシステム」を開発した早稲田大学理工学術院応用物理学科の森島繁生教授に話を聞いた田中・吉永がそれぞれの視点から報告する。

    あなたも映画の主人公に〜森島研究室訪問

     2005年愛知万博の三井・東芝館で上映されたフルCG映画『グランオデッセイ』は、エンターテイメントの新しい形として多くの人々の間で好評を博した。この映画を支えた技術、「フューチャーキャストシステム」を開発した早稲田大学理工学術院応用物理学科の森島繁生教授に話を聞いた田中・吉永がそれぞれの視点から報告する。

    続きを読む...

  •  世の中には、科学的なイメージをつかって都合よく話を進める人たちがいる。彼らの目的は、売名行為だったり、商品の販売だったりする。このような「ニセ科学」を防止する方法について考えてみたい。

    あやしい科学を「ほうっておけばよい」と言える社会に

     世の中には、科学的なイメージをつかって都合よく話を進める人たちがいる。彼らの目的は、売名行為だったり、商品の販売だったりする。このような「ニセ科学」を防止する方法について考えてみたい。

    続きを読む...

  •  大阪大学免疫学フロンティアセンターの審良静男(あきら・しずお)教授は、「自然免疫」といわれる免疫の仕組みの基礎研究者として世界的に著名である。その審良氏が、2008年10月に名古屋市で開催された日本癌学会学術総会に招かれ、「自然免疫:病原体認識とシグナル伝達」と題する特別講演をした。免疫学者である審良氏が癌学会に招待された意味は何だろうか。どうやら「癌免疫療法」という治療法と関係があるようだ。

    見直される自然免疫
    ―癌免疫療法 臨床応用の可能性―

     大阪大学免疫学フロンティアセンターの審良静男(あきら・しずお)教授は、「自然免疫」といわれる免疫の仕組みの基礎研究者として世界的に著名である。その審良氏が、2008年10月に名古屋市で開催された日本癌学会学術総会に招かれ、「自然免疫:病原体認識とシグナル伝達」と題する特別講演をした。免疫学者である審良氏が癌学会に招待された意味は何だろうか。どうやら「癌免疫療法」という治療法と関係があるようだ。

    続きを読む...

  •  ある日、「あなたは『白血病』に侵されています」と診断されたらどう思うだろうか?「カンニングの中島さんや本田美奈子さんみたいな運命をたどるかもしれない」という思いが脳裏をかすめるかもしれない。
 医療の発達した今日でも、血液のガン、白血病はときに容赦なく若い命を奪い去ってしまう。骨髄移植は画期的な白血病の治療法ではあるが、成功率 100%とはいえない。
 まだまだ発展途上の骨髄移植。「カギはカエルが握っているはず」と昼夜を問わず、研究に打ち込む早稲田大学教育学部・理学科生物学専修 加藤尚志(かとう・たかし)教授にお話を伺った。

    骨髄移植のカギはカエルが握っているはずだ
    ―加藤研究室 研究紹介―

     ある日、「あなたは『白血病』に侵されています」と診断されたらどう思うだろうか?「カンニングの中島さんや本田美奈子さんみたいな運命をたどるかもしれない」という思いが脳裏をかすめるかもしれない。  医療の発達した今日でも、血液のガン、白血病はときに容赦なく若い命を奪い去ってしまう。骨髄移植は画期的な白血病の治療法ではあるが、成功率 100%とはいえない。  まだまだ発展途上の骨髄移植。「カギはカエルが握っているはず」と昼夜を問わず、研究に打ち込む早稲田大学教育学部・理学科生物学専修 加藤尚志(かとう・たかし)教授にお話を伺った。

    続きを読む...

  • 「体内に毒素が蓄積している」と聞いて、思い当たる人も多いだろう。添加物たっぷりの食品、排ガスが混じった空気など、私たちの身の回りには、体内に毒素がたまりそうなものがあふれている。もし、それらが慢性的な疲労感や肌の不調、便秘などにつながっていると言われたら「解毒したい」という気持ちに駆られるかもしれない。そんな現代人の心をつかんでいるのがデトックス療法だ。しかし、その「効果」は本物なのだろうか。

    体内毒素が蓄積する?
    -不安につけこむデトックス療法-

    「体内に毒素が蓄積している」と聞いて、思い当たる人も多いだろう。添加物たっぷりの食品、排ガスが混じった空気など、私たちの身の回りには、体内に毒素がたまりそうなものがあふれている。もし、それらが慢性的な疲労感や肌の不調、便秘などにつながっていると言われたら「解毒したい」という気持ちに駆られるかもしれない。そんな現代人の心をつかんでいるのがデトックス療法だ。しかし、その「効果」は本物なのだろうか。

    続きを読む...

  •  早稲田大学理工学術院の岩崎秀雄研究室では、「科学とアートのコラボレーション」が日々繰り広げられる。生命科学者であり造形美術家でもある岩崎さん。美大出身の作家を迎え、より特色あふれる研究室となった。

    研究室訪問-生命科学とアートが交わる

     早稲田大学理工学術院の岩崎秀雄研究室では、「科学とアートのコラボレーション」が日々繰り広げられる。生命科学者であり造形美術家でもある岩崎さん。美大出身の作家を迎え、より特色あふれる研究室となった。

    続きを読む...

  •  東京・世田谷区の北沢タウンホールで7月1日午後3時半から、ドキュメンタリー映画「風のかたち」の上映会と、映画を監督した伊勢真一さん(60)と聖路加国際病院副医院長の細谷亮太医師(61)ら3人のトークショーが開かれた。

    小児がんの子どもたちを描いた映画の上映会とトークショーが開催

     東京・世田谷区の北沢タウンホールで7月1日午後3時半から、ドキュメンタリー映画「風のかたち」の上映会と、映画を監督した伊勢真一さん(60)と聖路加国際病院副医院長の細谷亮太医師(61)ら3人のトークショーが開かれた。

    続きを読む...

  • 2005年に発覚した「クボタ石綿事件」。兵庫県尼崎市の株式会社クボタの工場周辺にアスベストが大量に飛散し、周辺住民に中皮腫や肺がんなどの健康被害をもたらした。この事件の教訓を活かし、新たな公害被害を最小限に食いとめるには、どうしたらいいのか。

    奈良県立医大・車谷教授
    アスベスト禍を語る

    2005年に発覚した「クボタ石綿事件」。兵庫県尼崎市の株式会社クボタの工場周辺にアスベストが大量に飛散し、周辺住民に中皮腫や肺がんなどの健康被害をもたらした。この事件の教訓を活かし、新たな公害被害を最小限に食いとめるには、どうしたらいいのか。

    続きを読む...

  • 「マイナスイオンは存在しない」と言ったらいったいどのぐらいの人が驚くだろうか。試しに授業中にクラスで話してみたが、あまり驚いた人はいなかった。「いかがわしい」という認識を普通の人はもっているのだと思う。ところが、実際にド...

    健康のキーワードはずばりマイナスイオン!? ~リテラシー欠如の罠~

    「マイナスイオンは存在しない」と言ったらいったいどのぐらいの人が驚くだろうか。試しに授業中にクラスで話してみたが、あまり驚いた人はいなかった。「いかがわしい」という認識を普通の人はもっているのだと思う。ところが、実際にド...

    続きを読む...

  •  毎年、春になると悩まされる花粉。加えて最近は、日本全土に黄砂(*1)が飛来するようになり、その影響で健康を害する人が増えている。花粉に対しては「花粉用マスク」が世の中に出回っているが、いずれ「黄砂用マスク」なるものも出てくるに違いない。実際、おとなりの韓国では黄砂用グッズがよく売られている。しかし、これには少し注意が必要だ。

    「黄砂用マスク」にご注意を

     毎年、春になると悩まされる花粉。加えて最近は、日本全土に黄砂(*1)が飛来するようになり、その影響で健康を害する人が増えている。花粉に対しては「花粉用マスク」が世の中に出回っているが、いずれ「黄砂用マスク」なるものも出てくるに違いない。実際、おとなりの韓国では黄砂用グッズがよく売られている。しかし、これには少し注意が必要だ。

    続きを読む...

  •  シンポジウム併設のポスターセッションは味気なくて退屈。こんな先入観に凝り固まっていた私は、今回、認識を改めることになった。幅1メートル程のパネルの前で、発表者と見学者が話し合う姿は、まさに「どこでもサイエンスカフェ」。科学好きが集まっているとはいえ、見る人を引き込む熱意とコミュニケーション能力には、CoSTEP1年間の成果が確かに現れていると感じた。ここでは、そのなかで私が特に興味をもって話を聞いた2件について紹介しよう。

    CoSTEP・ポスターセッション見学雑感

     シンポジウム併設のポスターセッションは味気なくて退屈。こんな先入観に凝り固まっていた私は、今回、認識を改めることになった。幅1メートル程のパネルの前で、発表者と見学者が話し合う姿は、まさに「どこでもサイエンスカフェ」。科学好きが集まっているとはいえ、見る人を引き込む熱意とコミュニケーション能力には、CoSTEP1年間の成果が確かに現れていると感じた。ここでは、そのなかで私が特に興味をもって話を聞いた2件について紹介しよう。

    続きを読む...

  •  3月17日土曜日、北海道大学理学部の大教室で北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)の作品発表会が開かれた。戻り寒波で雪のちらつく中、会場に集まったのは、受講者の家族の小学生からシニア世代まで、関係者を含め約100名。CoSTEPは、本科生と選科生各30名が参加する1年制のプログラムだ。今回は、本科生にいずれかへの参加が義務付けられている実習の成果が発表された。
 以下、その発表会の様子をお届けする。

    「CoSTEP2.0」に参加して

     3月17日土曜日、北海道大学理学部の大教室で北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)の作品発表会が開かれた。戻り寒波で雪のちらつく中、会場に集まったのは、受講者の家族の小学生からシニア世代まで、関係者を含め約100名。CoSTEPは、本科生と選科生各30名が参加する1年制のプログラムだ。今回は、本科生にいずれかへの参加が義務付けられている実習の成果が発表された。  以下、その発表会の様子をお届けする。

    続きを読む...

  •  サイエンス・ウェブマガジン「Terrier(テリア)」、遂に始動です。 テリアは、早稲田大学政治学研究科・科学技術ジャーナリスト養成プログラム(MAJESTy)の学生有志を中心とした、ウェブログ形式のサイエンス...

    Vol.1 インデックス

     サイエンス・ウェブマガジン「Terrier(テリア)」、遂に始動です。 テリアは、早稲田大学政治学研究科・科学技術ジャーナリスト養成プログラム(MAJESTy)の学生有志を中心とした、ウェブログ形式のサイエンス...

    続きを読む...

  •  現代の「産婦人科」は深刻な状況に陥っている。少子化、高齢化、訴訟社会化、エイズ問題…さまざまな社会的状況との間から生まれてくる問題に関して、現役の医師、研究者にインタビューをおこなった。 深刻化する産婦人科医不足 感染...

    現代の産婦人科が抱える問題

     現代の「産婦人科」は深刻な状況に陥っている。少子化、高齢化、訴訟社会化、エイズ問題…さまざまな社会的状況との間から生まれてくる問題に関して、現役の医師、研究者にインタビューをおこなった。 深刻化する産婦人科医不足 感染...

    続きを読む...

  • 写真提供:NASA, JAXA 日本地球惑星科学連合は、地球惑星科学に関連した43学会が加盟する連合会である。MAJESTyでは、実習の一貫として2006年5月に行われた連合会を取材した。その模様をお届けする。

    日本の宇宙開発と理科離れ

    写真提供:NASA, JAXA 日本地球惑星科学連合は、地球惑星科学に関連した43学会が加盟する連合会である。MAJESTyでは、実習の一貫として2006年5月に行われた連合会を取材した。その模様をお届けする。

    続きを読む...

  •  

    ネットジャーナリズムの現在と未来

     

    続きを読む...

  •  国内におけるHIV(エイズウイルス)感染者は、2006年現在、推定で2万人を超すといわれる。実際の報告数よりもかなり多い。さまざまな場面でHIVの感染をいかに防ぐかが問われているが、精液からHIVを除去する技術を確立した荻窪病院の花房秀次・血液科部長は「多くの医師の感染症に対する認識の低さが大きな問題だ」と指摘する。

    感染症に対する医師の認識

     国内におけるHIV(エイズウイルス)感染者は、2006年現在、推定で2万人を超すといわれる。実際の報告数よりもかなり多い。さまざまな場面でHIVの感染をいかに防ぐかが問われているが、精液からHIVを除去する技術を確立した荻窪病院の花房秀次・血液科部長は「多くの医師の感染症に対する認識の低さが大きな問題だ」と指摘する。

    続きを読む...

  •  お産の後は、必ず骨密度検診を--。更年期を迎えた中高年の女性に多い骨粗鬆(そしょう)症。その予防と治療に力を入れる産婦人科医が増え始めている。出産後のお母さんを対象とした骨密度検診は、骨を大切にする生活習慣を若いうちに身に付けてもらう狙いがある。早くからこの分野に取り組んできた新潟市民病院の倉林工産婦人科部長に話を聞いた。

    お産の後は骨検診

     お産の後は、必ず骨密度検診を--。更年期を迎えた中高年の女性に多い骨粗鬆(そしょう)症。その予防と治療に力を入れる産婦人科医が増え始めている。出産後のお母さんを対象とした骨密度検診は、骨を大切にする生活習慣を若いうちに身に付けてもらう狙いがある。早くからこの分野に取り組んできた新潟市民病院の倉林工産婦人科部長に話を聞いた。

    続きを読む...